内容説明
日本の西端、アジアの東端。世界と日本をつないできた縁側のような “はじっこ”の町は、とてつもなく奥が深かった。実は忠臣蔵の元祖? 踏み絵と「くんち」の意外な関係とは? 知られざる「日本初」の数々――在住半世紀の地元作家が地理と歴史を掘り分け、教科書ではわからない独特の魅力へと誘う。充実のガイド付き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
31
2025年刊。キリスト教伝播に始まる、住民目線の都市の歴史。盛時には教会が10を超え、強制改宗も行われたが、キリスト教と共に来た南蛮貿易は大きな利益と不幸をもたらす。禁教への複雑な過程ではさらに多くの血が流れ、住民間の不信と監視は何世代も続いた。維新後には名乗り出たキリスト教徒が大量に殺された。ここに、原爆による殺戮と被爆者への差別が積み重なる。生々しいのに抑制された語りが胸に迫る。私は人の残忍さを本能だと思う者だが、本書には好悪や恩讐を超えた人間原理への問いを感じた。具体的で分かりやすい歴史書。2025/05/12
KEI
6
出来たら、長崎に観光に行く前に読みたかったな!2025/05/11
Hiro
5
本書を地域おこし、お国自慢、観光客誘致のガイドと捉えてもいいが、熱心な著者が長崎の全てを街の始まりから今日まで盛衰全部を洗いざらい総花的に取り上げた結果、案内書にはとても納まらない問題提起の書になったと私には思われる。なかでも考えさせられるのはこの土地に象徴される日本人の主体性の問題だ。本書を読むと長崎は街の起こりから終始外圧や中央政治の強い影響下に、つまり主体的ではなく受身的に形作られてきたことが分かる。有名なおくんちすら住民の発意ではなく為政者の強制によるものだったとは。元長崎市民としては悩ましい本。2025/03/09
みさと
3
世界の東の果ての日本の西の端、長崎はまさに「辺境」。しかし、ここには遠い海の向こうからあらゆるものがやってきた。ここに港が開かれたのは戦国期、ポルトガル船が平戸に代わる港を探していた結果だった。徳川の世、厳しい弾圧により切支丹は転ぶか潜るかを余儀なくせられ、長崎はオランダ人と唐人が来るように。「鎖国」の時代、長崎は世界に開かれた窓、新しいものは常にここから日本に入っていった。明治以降は炭鉱と三菱造船所の街に。軍需中心の街は原爆で跡形もなくなった。観光・祈り・坂の街、しかしてその素顔は。長崎、すごい街だ。2025/04/10
定年おやじ
1
長崎の街の始まりから今日までの歴史や背景を解りやすくまとめられています。長崎の爺さんとしては、知ってることも新たに得たこともあり、改めて「すごい長崎」を感じられる本でした。2025/03/22
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