内容説明
コーヒーは苦くて甘い。人生も苦くて甘い。悩みにとらわれた人々の転機にコーヒーが立ち会う。それぞれが選択した未来は――。ある日、ルームメイトの実果が出ていった。入れ違いに現れた彼女の婚約者と、なぜか同居することになり――(「コーヒーの囚人」)。真面目が取り柄の地味な会社員が、上司との不倫におぼれた先で出した答えとは――(「隣のシーツは白い」)ほか、日常の先に潜む、どこか不思議な5つの物語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
154
コーヒーと読書は相性が良い。本作、書名の通り、不思議なほどに…合う。作品では脇にあるも、立派なモチーフであるコーヒーの象徴性と存在感の強さ。苦み、酸味、コク、甘み、香り―、5編それぞれのブレンドは明らかに異なる。キレの良さはあるのに、どれもが舌に絡むビターな味わいと薫りを心に残し、それが自身の記憶のどこか?から醸されているような気にもさせる。軽やかな筆致で紡ぐ際々の人間関係、エッジの効いた人物造形と心象描写は、悩みに囚われた人々の葛藤をより鮮明に浮き彫りにし、その転機を鮮やかに描く。是非、コーヒー片手に。2025/06/11
おしゃべりメガネ
132
タイトルにあるようにコーヒーをネタにした5つの話からなる短編集です。砂村さん作品らしく、ちょっとベタアマっぽいのから、意外とシリアスな作風のものまで多彩な一冊となっています。どの作品もコーヒーの使われ方がなかなか印象的で、読んでる最中はもちろん、読後もやっぱりコーヒーを飲みたくなってしまいますね。それぞれの話は雰囲気も異なり、みんながみんな読後感がいいワケではありませんでしたが、読み終えて結局は砂村さんの作風に惹き付けられていたことを再認識します。個人的には'喫煙所'での出会いの話が印象的で好きですね。2025/04/09
モルク
124
5話の短編集。作品それぞれにコーヒーが登場する。ビターなコーヒーが癖のある登場人物たちによく似合う。地味なOLを描く「隣のシーツは白い」は職場の上司と不倫、出勤するときわざわざ彼のマンションを通る彼女。ベランダに夫婦の営みがあったことを意味する白いシーツが干してあるかを確認する。彼女の感性はいかに。「どこかの喫煙所で会いましょう」も面白かった。恋人とセフレを上手に使い、美人で魅力的だが価値観がずれている女。結構苦い、苦~い話が多いけどこれははまる。もっと読んでいたかった。2026/03/19
ネギっ子gen
97
【動かすなと言われたものを動かしてゆくことでしか、この世界に自分の居場所を確保できない】男女の機微が甘苦く綴られた5つの物語。どのお話にもコーヒーが登場するが、それぞれに味わいが違う作品になっているところが見事だと思う。「招かれざる貴婦人」には、<読んでいて最もストレスの溜まる本は、エドワード・ゴーリーの『うろんな客』だ>とある。“居住空間を他人に侵されるのが好きではない”人には、確かにそうなんでしょうね……。「コーヒーの囚人」に“五徳”とある。キッチンのあれか…とその名を認知した時には我が家はIHに――2025/09/17
星群
87
タイトルのごとくコーヒーにまつわる短編集。イチオシは『隣のシーツは白い』です。気になるのは最後の、あの場面。奥さんと全面戦争になるのは時間の問題の気がして、他人事ながら何を血迷っちゃったのよと、心配になります。気になるといえば『招かれざる貴婦人』のおばあさんの行方もですね。何者だったんだろう。でも、いまいち共感できる登場人物はいなかったかな。2026/05/12




