ちくまプリマー新書<br> よりみち部落問題

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ちくまプリマー新書
よりみち部落問題

  • 著者名:角岡伸彦【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2024/12発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480685117

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内容説明

私は被差別部落に生まれた。自らの出自を考えずに自由に生きることこそが、部落問題の解決ではないか。そう考える著者がたどりついた地平は――。被差別部落のみならず、あらゆる差別を考える一冊。たまたま被差別部落に生まれたために、部落問題についてあれこれ思い悩んだ半世紀。記者として取材した差別、共同体の過去・現在・未来、今こそ語りあかす。

目次

はじめに/第一章 Firstly 最初は──出会いと不安/出身地は「差別されてきた地域」/「エタ・非人」は私に関係があるのか? /急な変化は絶対イヤ! らしい……/「一緒にするな」の気持ち/新しい「区別」って? /「侮蔑ノ意志」を許さない/差別が止まらない/有罪判決を受けた祖父/ルーツを誇らない/「どこ」の「だれ」の問題なのか/「みんな同じ」が嫌な性分/窃盗で飢えをしのいだ教師/向き合い方はさまざま/生き方の押し付けは困る/過激派からのオルグ/部落解放研究部に入部/マイノリティの中のマイノリティ/先走る理想/見える違いと見えない違い/マイノリティの彼らとマジョリティの自分/存在と意識の中の「中心」と「周縁」/解放研、廃部の危機! /状況と意志が道を拓く/学園祭で起こった事件/就職戦線異常あり/第二章 Then それから──記者、学芸員、ライター/世界中を見て回る夢/今しかできないことは何か/社会人になってわかったこと/思うように記事が書けない/ジェスチャー事件/時間がかかったメッセージ/情報の取り扱い/ブラジルに行くつもりが……/阪神・淡路大震災/博物館学芸員に転職/マイノリティの中のマジョリティ/「見せる」ことの可能性/学芸員の自由と不自由/「人権」の間口/書く方が向いているのではないか……/部落問題に取り組む決意/部落民の日常を知ってもらう/キーワードは「地域」と「世代」/食文化だって違う/出自を実名で書く/第三章 Afterthat そのあとは──食文化、同和利権、インターネット/『ホルモン奉行』/屠畜という仕事/恋人が食べてきたもの/問題に出会う入口/同対事業は「犯罪誘発装置」? /老朽住宅が三、四割も/生活の厳しさは変わらない/公共事業は何をもたらしたのか/「窓口」はひとつだけではない/同対事業に群がる人びと/インターネットに載った情報/部落民は存在しない? /被告とのやりとり/「裁判所は相当ビビってる」/ナンセンスな主張/ネット上の公開を制限/高校生の問題意識/「ありがたい」ツール/差別に利用されるネット/過度の心配は禁物/地域を出たらわからない? /あふれ出る偏見/七割が差別的な回答/悪びれず拡散する差別/国が部落差別の存在を認める/「人でなく、部落を撮りたい」と言う男/気味の悪い浅はかさ/差別しやすい時代/第四章 Finally 最後は──被差別部落の残り方/本当の部落の姿/「こだわらない」は良いことなのか/出自を明らかにしても差別されない社会/部落民は存在しないのか/なかったことにできない/ルーツに優劣を持ち込むな/ルーツを考えることに例外はない/部落出身者の視点/みんなが関係者になる社会/スイッチを「ON」にする/どんな問題も「関係ない」と思わない/あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

venturingbeyond

38
角岡さんの部落差別をテーマとした著作を読むのは4冊目(既読は、『被差別部落の青春』、『はじめての部落問題』、『ふしぎな部落問題』の3冊)。自身の来歴や解放運動との微妙な距離感、ICT社会化の下での部落差別の変容などについて語り、部落差別解消の展望を示す。既読の著作での論点をガラッと更新する新規の視点や論点があるわけではないが、問題と向き合う最初の一冊としてはお勧めの良書。2025/02/19

kawa

33
角岡氏「ふしぎな部落問題」に続く2冊目。巻末近くでのKさんとの新聞紙上でのやりとりが興味深い。確かにKさんの言う通り問題は、一時に比べて穏やかな展開になっている印象はある。ただ、それは問題が解決済みということではなく、油断をしたり、所与の条件が充足されるとたちまち顕在化してくる性質のもののように思う。世界の紛争地を見ると、他民族や職業などが異なることによる差別意識から紛争が発していることが多い。「差別」、人間にとって、とても厄介なものであることは間違いない。これからも丁寧に見つめていきたい。2025/02/18

崩紫サロメ

14
兵庫県の被差別部落出身者が語る、当事者としての部落問題。祖父の受けた差別から自分の経験、様々な場面での思いや迷い、違和感を率直に綴る。「「障がい者差別のない社会」とは、障がい者のいない社会なのか、障がい者が差別されない社会なのか」「「部落差別のない社会」とは、「部落出身者がいない社会ではなく、部落出身を明らかにしても差別されない社会」このあたりはあらゆる差別問題に通じるところ。2025/02/01

乱読家 護る会支持!

6
僕が子どもの時、自宅近くにから被差別部落の地域がありました。 彼らの多くはボロボロの長屋に住まれていましたが、そのうち被差別部落の人たちを対象にした団地が立ち始めました。 また部落地域にある公民館で、学校の先生が部落の子どもたちに無償で勉強を教えてたように記憶しています。 学校の道徳の授業は、「狭山事件」を学ぶ時間に変更され、生々しい殺人現場の状況を教えられ、そして被告の石川さんの無実の根拠をずっと教えられました。裁判では石川さんは無実にはならず、学校がおかしい?裁判所がおかしい?と疑問でした。2025/04/05

U-Tchallenge

5
被差別部落の出身を公言している著者が、被差別部落で生きてきた過去や現在、未来を語る一冊であった。部落差別の現在の状況やこれからを考えるには打ってつけの一冊のように思った。部落差別だけでなくさまざまな人権課題を考えることは、誰もが生きやすい社会へとつながっていくだろう。つまり、誰もが当事者であり関係のないことはない。そう考えられるようになればいいのではないだろうか。2024/12/15

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