内容説明
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ボーヴォワールが『第二の性』で新しい概念の登場を予感させて以降、20世紀の哲学はジェンダー論の展開・受容に大きく舵を切った。だがなお、私たちの認識にはジェンダーをめぐる不正義があり、学問にも性差別が残っている。こうした問題は思想・実践の力によって少しずつ解決されてはいるものの、20世紀には表在していなかったLGBTQという観点によって、よりいっそう複雑化している。性の多様性に対して哲学は何を言えるのか。これは21世紀の重要な問いのひとつである。
目次
第1章 ジェンダーが問い直す哲学―「尊重しあう愛」 は可能か
第2章 ジェンダーをめぐる認識的不正義―マスメディアの企業風土と組織の証言的不正義
第3章 性差をめぐる科学研究の落とし穴―統計学をいかに使いこなすか
第4章 LGBTQの人々が「自分らしく生きる」ということ―性のポリティクスから多様性の哲学へ
責任編者解題
引用・参照文献
責任編者・執筆者紹介
索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
University
2
今正しいとされてるものが本当に正しいとは限らない クリティカルシンキングが常に重要であると思い知らされた一冊でした 論理的にしか考えていないと、「愛」や共助の理念を忘れてしまうことも多いし、合理的でない物を排除するような凝り固まった思考に陥ってしまう 性について扱う本であり、自身がどういう人間で、どういう思考、言動を経てきたかということについて考えさせられる 私は特に最後の章が好きで、構造上生まれた権力と性について結びつけて考えており、非常に参考になる2024/11/25
ディス
1
◯。新しい本なので、引用されてる論文やブックガイドで紹介されてる本も2020年代のものが多い…つまり最前線近い話を読めるのは、興味関心でこのテーマを追っているだけの自分にはありがたい。内容は若手、中堅の研究者の表題に関する問題提起やそれに対する主張など。難しくなる部分も多いけど、最後に置いてある解説が凄く分かりやすいので大まかな内容はそこで掴めてしまいます。扱われるテーマが正に「今」で、その意味で身近で、実感を得やすい。重要な論点や考え方も学べたので、意義深い一冊だった。2025/02/12