内容説明
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相転移は、熱力学関数に現れる特異性です。身近で馴染み深い物理現象でもあり、水が凍る・沸騰するなど、物質の性質が急激に変化する現象です。量子力学が支配する微細な系や天体のような巨大な系など、様々なスケールで生じます。特異性は多くの問題で敬遠される存在ですが、相転移の理論ではまともに向き合わなければなりません。本書は、相転移とは何か、から説き、熱力学・統計力学による記述、平均場理論、Landau理論などの基礎的解説を行った後、相転移に伴う臨界現象の具体的な状態や普遍的性質、その理解に不可欠なくりこみ群について詳説しています。厳密に解けるものを含めたさまざまな模型と近似法を用いて具体的かつ実践的理解を促し、必要な数学的手法もまとめて解説しています。
目次
1 概論
2 相転移とは何か
3 平均場理論
4 Landau理論
5 動的現象と相転移
6 可解模型
7 スケーリング理論
8 くりこみ群
9 実空間くりこみ群
10 運動量空間くりこみ群
11 演算子積展開
12 連続対称性
13 くりこみとくりこみ群
14 量子系の相転移・臨界現象
付録A 数学的手法
付録B スピン演算子
付録C 場の変数とGreen関数
付録D Monte Carlo法のアルゴリズム
付録E 2次元Ising模型の解
付録F クロスオーバー
付録G Jordan-Wigner変換
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
quolc
1
初歩的な平均場近似やLandau理論から始め、実空間・運動量空間くりこみ群の一般論、Kosterlitz-Thouless転移など連続対称性のある系や量子相転移まで広く扱った一冊。Goldenfeld(未読)と近いスタイルらしい。 内容のボリュームはあるが解説のテンポが良く行間も広くないので独習用にも読みやすいと思う。ファインマンダイアグラム等を用いた摂動計算はあっさり書かれているので別の本も使って練習したほうがよさそう。 QFTのくりこみも半章程度扱っているが、そちら専門の本を読んだ方がよさそう。2017/11/04