内容説明
バーナム・クロネッカーはアメリカ合衆国ユタ州のウィットロー高校に通う17歳の少年。彼は8歳のとき三葉虫に魅せられ、今ではその化石を熱心に集めつつ、静かな高校生活を送っている。そんなバーナムへのいやがらせが、ある日突然にはじまった。ロッカーの扉を接着され、頭にジャガイモをぶつけられる。体育会系の人気者コール・アボットのしわざだった。バーナムは、コールの行為を〈攻撃〉と呼ぶ謎めいた同級生、タキオ・グリーンと友人になる。そのときすでに、バーナムを驚愕の事件へといざなう運命の歯車は回りだしていた……。現代アメリカ社会の闇に光を当てながら、新しいヒーロー像を描きだす超絶エンターテインメント。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
370
シンプルな筋立てながら、いったい何を読まされているんだろうという疑問が頭の片隅に残ったまま、答えを見つけることなく読み終わってしまった不思議な作品。アメリカの病巣や、そこに至る人物の心の動きなどはさもありなんとした現実感を得られるのに、なぜそれがラストで三葉虫とアノマロカリスの対比に結実するのか、そもそもフランクをアノマロカリスに見立てきれていないし、銃弾を化石から作らなければならなかった意味は?など、線になって結びつかなかった点がたくさんありはするが、それすら狙いなのかなという気もしないではない。2025/04/26
青乃108号
199
アメリカ。三葉虫の化石マニアの男子高校生(居るのかこんな奴)と、アフガン戦争から生還した退役軍人の金物屋店主(アメリカあるある)の二つの物語が交互に語られる。金物屋店主は最初から挙動不審だが、男子高校生は徐々に三葉虫に取り憑かれ遂にカフカの「変身」のごとくに。二つの物語が交錯した時、阿鼻叫喚のクライマックスが訪れる。いいなあ。こういう小説が読みたかったんだよ。何となくメッセージ性は込められている様でもあり如何様にも読めるけど、単なるエンタメ作品として読めばスッキリするよ。深く考えないで表層だけ読んでれば。2025/05/30
ちょろこ
118
アメリカンストーリーの一冊。舞台設定はアメリカ、主人公は三葉虫の化石をこよなく愛する17歳の高校生、バーナム。そんな彼の高校生活が淡々と綴られていく。いじめ、スクールカーストという日常が。度重なるいやがらせの中、家庭でも安らぎを得られないバーナムが三葉虫の化石に心を捧げるさまがせつない。絶望の未来、夢か現か不思議なひとときの描き方が好き。終盤はトラウマに囚われる苦しみといいアメリカという地ならではの感情爆発を思う。あっという驚きと、やるじゃん!とも思えちゃうエンタメ感。何よりこの最後の〆言葉がかっこいい。2025/02/04
のぶ
97
佐藤究さんは「テスカトリポカ」が好きなのだけど、こちらはもっと手軽に楽しめる作品でした。スクールカースト問題vs退役軍人問題という構図だろうか。正義感については銃殺事件を起こすしかないという結論って極端だなって思った。有力者の権力は甘く見られないから、やるなら徹底してってことなのかもしれないけれど。大戦に参加した親族は悪夢を見る様だったが、口は重くその悲惨さについて、自分に感じとるところはなかった。ここにある有力者によるイジメみたいなものは、おそらく日本よりかなり救いのない感じなのかもしれない。2025/01/20
yukaring
88
彼はヒーローなのか殺人者なのか?衝撃のラストが待ち受けるアメコミ風のダークファンタジー。バーナムは三葉虫の化石に魅いられた普通の高校生。しかし学校のボス猿のようなコールと彼のガールフレンドから執拗なイジメを受けるうちにバーナムは不思議な幻覚を見始める。三葉虫を身に纏った怪人を…。学校や家庭にも居場所がなくなった彼はついに臨界点を超える。バーナムの視点と交互に描かれるのは戦争のトラウマに苦しむ謎の人物。そして彼らの運命が交差した時に悲劇は起こる。本当の正義の意味を考えさせられるアメリカの闇に切り込んだ1冊。2025/01/05




