講談社学術文庫<br> ティマイオス

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講談社学術文庫
ティマイオス

  • ISBN:9784065380956

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内容説明

プラトンの主著は何か、と言われれば、たいていは『国家』という答えになるでしょう。確かに『国家』にはプラトン哲学のエッセンスが詰め込まれ、質量ともに主著の名にふさわしいことは間違いありません。しかし、長い歴史の中で最も大きな影響力をもったプラトンの対話篇はといえば、本書『ティマイオス』なのです。
神による宇宙の製作とさまざまな自然学的理論が論じられる後期対話篇である本書は、古来プラトン信奉者たちに重視され、前1世紀から後3世紀にかけての中期プラトン主義とそれに続く新プラトン主義の時代に特権的な地位を占めるに至りました。その伝統が近代にも及んでいることは、ラファエロの有名な壁画《アテネの学堂》でプラトンが手にしている書物が『ティマイオス』であることに、はっきり示されています。
ソクラテス、ティマイオス、ヘルモクラテス、クリティアスの四人を登場人物とする本書は、導入部以外はすべてティマイオスのモノローグで構成されています。おそらくプラトンが創作した架空の人物であるティマイオスが語る宇宙論は、国家においても個人においても理性こそが主導権を握るべきだ、というプラトンの主張を正当化するものとして提示されます。この宇宙は必然や偶然の産物ではなく、理性的な製作者(デーミウールゴス)によって、理性の対象(イデア)を手本として、理性的な魂をもつ生き物として構成された、というのがその骨子です。こうして宇宙が理性によって導かれているのなら、それと類比関係にある国家においても個人においても、気概や欲望ではなく理性が支配することこそが自然にかなった正しいあり方だということになります。本書においてプラトンは、国家と人間のあるべき姿を宇宙全体の構造の中に根拠づけることを企てたのでした。
本書は、それぞれの時代、それぞれの思想家において、さまざまに異なる観点から関心の対象とされてきました。ユダヤ教徒やキリスト教徒は『創世記』の神の世界創造を理解するヒントを本書に求めたでしょう。新プラトン主義者は形而上学的真理のアレゴリーとして本書を読んだでしょうし、錬金術師は神の創造を自らの手で再現するための秘密を本書に読み取ろうとしたかもしれません。そして、自然学者や科学者にとって、宇宙の始まりと物質の究極という科学にとっての永遠のテーマを追究する本書が関心の対象となったことは言うまでもありません。
そうして「プラトニストのバイブル」とまで呼ばれた本書『ティマイオス』は、しかし日本では、なぜかこれまで文庫版が存在しませんでした。この状況を打破するべく、最良の訳者を得て、満を持しての新訳を皆さまにお届けいたします。

[本書の内容]
ティマイオス

訳 註
訳者解説

目次

ティマイオス
訳 註
訳者解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Major

50
プラトンと言えば、主著中期対話篇『国家』が有名である。しかし、それに匹敵するほどの重要な著作がこの『ティマイオス』である。このプラトンの後期対話篇『ティマイオス』は世界の成立を説く壮大な宇宙論である。本書で展開される議論は、単なる物理的探求に留まらず、後世の形而上学や認識論の根幹を規定し続け、近代哲学の認識論までその射程を延ばす。実在世界を感覚世界とイデア世界の二つの対立する領域に分けて考える思想は近代哲学の祖デカルトを超えて(デカルトの物心二元論とは相違する)カント認識論までその射程を延ばしている。→2026/01/15

松本直哉

24
ソポクレスらのギリシャ悲劇には抗いがたい魅力を感じるのに、プラトンにはどうしても馴染めないのはなぜだろう。本書も例外ではなかった。奴隷に身の回りの世話をさせて、自分たちは何不自由ない身分で、明日の糧を心配することもない特権階級の、暇にあかせた無駄話以上の何かだっただろうか。男性の中で臆病で不正なものどもが、生まれ変わって女性になるという、性差別丸出しの一節が有名だが、万事この調子で、知性と富をもつアテネの男性の優越をつゆほども疑わない。2026/01/30

Ex libris 毒餃子

16
アトランティスの記述があることでオカルト好きに有名な本書。読んでみたところ、プラトン著作で1番しっくりきました。対話篇と言いつつ、ティマイオスのモノローグなので読みやすく、古代ギリシアの自然観や宇宙観がわかった。医学知識はガレノスに通じていくのがわかった。2024/12/24

tyfk

9
デリダ『コーラ』での参照箇所を注意して読む、訳文が違いすぎて、どっちもどっちだな。参照箇所以外の特に後半は、ひたすら退屈な話で、むずかしくはないから読み飛ばし。2025/01/19

ナディル

3
プラトンの哲学についてほとんど何も知らないこともあり本書の構成が対話的でないのにまず驚いた。S.ヴェイユ理解のために読んでいるので大枠が掴めればいいのだけれどそうは問屋が下ろさず解説頼り。初学者にもとっつきやすい本で新しい翻訳のものを選んでよかった。宇宙は魂を持った生き物である。そうであれば例えば誰もが経験するシンクロニシティなどは宇宙との交感として理解しやすい気がするがどうだろうか。ヴェイユはそれを=神のひとり子とするのだがやはり難解、しかしどこか美しい。ヴェイユは宇宙の魂は私達の感性にあらわれる美を→2025/06/05

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