集英社学芸単行本<br> 対馬の海に沈む

個数:1
紙書籍版価格
¥2,310
  • 電子書籍
  • Reader

集英社学芸単行本
対馬の海に沈む

  • 著者名:窪田新之助【著】
  • 価格 ¥2,310(本体¥2,100)
  • 集英社(2024/12発売)
  • ポイント 21pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087817614

ファイル: /

内容説明

2024年 第22回 開高健ノンフィクション賞 受賞作。

JAで「神様」と呼ばれた男の溺死。
執拗な取材の果て、辿り着いたのは、
国境の島に蠢く人間の、深い闇だった。

【あらすじ】
人口わずか3万人の長崎県の離島で、日本一の実績を誇り「JAの神様」と呼ばれた男が、自らが運転する車で海に転落し溺死した。44歳という若さだった。彼には巨額の横領の疑いがあったが、果たしてこれは彼一人の悪事だったのか………? 職員の不可解な死をきっかけに、営業ノルマというJAの構造上の問題と、「金」をめぐる人間模様をえぐりだした、衝撃のノンフィクション。

【選考委員 大絶賛】
ノンフィクションが人間の淋しさを描く器となれた、記念すべき作品である。
――加藤陽子(東京大学教授・歴史学者)

取材の執拗なほどの粘着さと緻密さ、読む者を引き込む力の点で抜きん出ていた。
――姜尚中(政治学者)

徹底した取材と人の内なる声を聞く聴力。受賞作に推す。
――藤沢 周(作家)

地を這う取材と丁寧な資料の読み込みでスクープをものにした。
――堀川惠子(ノンフィクション作家)

圧巻だった。調査報道の見本だ。最優秀な作品として推すことに全く異論はない。
――森 達也(映画監督・作家)

(選評より・五十音順)

【著者プロフィール】
窪田新之助(くぼた しんのすけ)
ノンフィクション作家。1978年福岡県生まれ。明治大学文学部卒業。2004年JAグループの日本農業新聞に入社。国内外で農政や農業生産の現場を取材し、2012年よりフリーに。著書に『データ農業が日本を救う』『農協の闇(くらやみ)』、共著に『誰が農業を殺すのか』『人口減少時代の農業と食』など。

目次

序章 事故
第一章 発覚
第二章 私欲
第三章 軍団
第四章 ノルマ
第五章 告発
第六章 責任
第七章 名義人
第八章 共犯者
終章 造反

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

283
第22回 開高健ノンフィクション賞受賞作ということで読みました。窪田 新之助、初読です。JA&錬金術&地方の隠蔽体質の闇、スリリングなサスペンスのようなノンフィクションでした。昨年読んでいたら2024年のBEST20候補になったはずです。 https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-781761-4 2025/01/14

読特

183
岸壁から転落した車が海面に浮かぶ。フロントガラス越しに見える運転手。意識はあるが助ける手立てはない。3万人足らずの島。乏しい市場を相手に、飛び抜けた数字を残してきたJAのライフアドバイザー。12回に及ぶ全国表彰。沈みゆく車の中で何を思ったか。…22億円の横領は彼一人の手によるものだったのか?取材から見えてくるのは過大なノルマに破綻するモラル。弱みが利権を生む。儲からない農業を金融収益で賄うという構造。病理の根を辿れば、この国の農政の問題へと行きつくだろう。食の供給を担う組織を立て直すのは他所の国ではない。2025/07/21

nonpono

177
対馬という国境の小さな島で起こった農協の事件。郵便局の年賀状などの自爆営業など有名だが農協も?始まりに小宮さんへと。小宮さんが登場するくらいから物語の持つ熱が走り出す。JA対馬の共済事業で圧倒的な力を持った西山。顧客からの信頼は厚く果ては印鑑や通帳も預かる。稚拙な錬金術のカラクリは暴かれているのに西山を守る組織、西山がいるからノルマを免れる同僚、成績を保つ組織。西山は必要悪なのか。腐敗に蓋を閉められなくなれば西山外し。梯子を外された西山の道行き。みんな共犯?緻密な取材で描く農協の闇、西山だけが悪いのか。2025/04/04

hiace9000

149
辺境の地・対馬で起こった、巨大組織JAに絡む一大不正事件を裁判調書と徹底した聞き取りを通して克明に綴る衝撃と震撼のノンフィクション。力あるノンフィクション著書に触れるたび、事実は小説より奇なりの言を思い起こすが今作も然り。その依拠とは、ムラ社会や同調を善しとする"ふるさと的"風土が生み出した事実と、自身の心中にもそれを他人事として一喝一蹴できないかもしれない、という根源的懼れがあるゆえに他ならない。追及する個人悪→企業悪は、しだいに社会悪へ、そして最終的に誰もに潜む利己や欲悪へ。西山は最後、何を観たのか。2025/05/14

trazom

140
JA対馬において、巨額の共済金が不正に取得される事件を追ったノンフィクション作品。徹底した取材を通じて事件の全貌を明らかにした著者の行動力は見事。ただ私は、著者が首謀者を「本人が余りにもかわいそうに思えた」と書くスタンスに違和感を持つ。確かに、厳しいノルマや甘い監査のJAの組織としての問題は事実だが、明らかな横領を主導した人物は同情すべき存在だろうか。一方で、不正を黙認したり加担した周囲の人たちが批判されているが、世間やムラ社会の柵の中で、声を上げられずいた弱き人たちにこそ、生きることの悲哀を感じる。2025/03/16

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22284235
  • ご注意事項

最近チェックした商品