内容説明
火事で家族を失った大学生の水城朔実(みずき・さくみ)は、自らを育ててくれた恩人に頼まれ、「幻堂設計事務所」、通称「まぼろし堂」を訪れる。あるじの幻堂風彦(げんどう・かざひこ)が案内してくれたのは、館内に迷路のように広がる部屋の数々。この「まぼろし堂」には、「あかずの間」を貸し出すというもう一つの顔があり、さらには訳ありげな下宿人たちを受け入れてもいて……。「秘密」を閉じ込める、金木犀香る北鎌倉の古い洋館を舞台に繰り広げられる、心あたたまるファンタジック・ミステリー。
目次
一章 開けっぱなしの密室
二章 地下室の向こうへ
三章 天の鍵穴
四章 いつかオルゴールが鳴る日
五章 木犀の香に眠る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
46
あかずの扉をめぐるゴシックファンタジーでした。不思議な空気が漂い、物語にどんどん引き込まれていきました。自分だったらあかずの扉の中にどんな秘密を閉じ込めようか考えてしまいますね。心あたたまる物語でした。2024/12/31
よっち
28
恩人・不二代さんに心残りを聞かされた大学生の水城朔実。彼女に頼まれて「幻堂設計事務所」通称「まぼろし堂」を訪れ、その複雑な造りの館に魅了されてゆく物語。時空を超えて潜めておきたい、様々な人の歴史が預けられているまぼろし堂。主の幻堂風彦が案内してくれた迷路のように広がる部屋の数々、あかずの間を貸し出すというもう一つの顔。開けっぱなしの密室、訳あり親子の過去、新たな下宿人が探しているもの、行方不明だった風彦の妻、館に眠る人骨の噂の真相など、そこにこめられたそれぞれの想いは優しくてほんのりと切ない物語でしたね。2024/10/18
陽ちゃん
8
あかずの扉の鍵?と不思議に思いながら読み始めました。子供の頃に両親を火事で亡くし、遠縁の不二代と暮らしてきた大学生の朔実は、今また不二代を失いそうになり不安にかられますが、不二代から「あかずの扉」を借りたいと頼まれ、彼女の紹介で北鎌倉にある「まぼろし堂」を訪ね、不二代の願いを叶えることができますが、まぼろし堂にも「あか ずの扉」にも興味が湧き、下宿することに。家主の風彦に惹かれつつ、まぼろし堂に纏わる謎解きにも関わり、生きがいを見つけた朔実と、風彦のこれからが気になります。2024/12/01
ジュンコ
8
ちょっと読みにくかったけど、読了。2024/11/04
勝
5
読みながら洋館の見取り図があればなーと思いました、常に洋館と金木犀の香りをイメージしていました、こういう物件なら食事も心配しなくていいし住んでみたい。2025/05/17