論争と「詭弁」

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論争と「詭弁」

  • 著者名:香西秀信【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 丸善出版(2024/12発売)
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  • ISBN:9784621052976

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内容説明

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現在あまりにも偽善的な評価によって正当性が認知されつつあるレトリックを、その居心地の悪い「陽のあたる場所」から救い出し、再びそれにふさわしい日陰者の位置に追いやることが本書の目的である。本書では、世間一般の倫理ではなく、レトリックの倫理に忠実であった人々を取りあげる。自分達が獲得したレトリックという技術の可能性を信じ、その力を徹底的に確かめようとした人々である。ぼくは彼らの邪魔をしてやりたい。レトリック研究者の端くれとして、レトリックに詰め腹を切らせたいのだ。だから本書は、従来の修辞学史とは違う「闇の修辞学史」のごときものとなる。

目次

序 レトリックはその本性によって「詭弁」を志向する
第一章 「自分を恋している者よりも恋していない者にこそ、むしろ身をまかせるべきである」---プラトン『パイドロス』におけるリュシアスの演説について
I 弁論代作人リュシアスの逆説的演説
II 自分を恋されることの不都合
III 正しい根拠による誤った論証
第二章 「修辞学の教師たちは前代未聞の狂気にかられているのではないでしょうか」---古代ローマの修辞学校の訓練方法について
I アウグストゥス帝の学校見学
II 修辞学校での訓練
III 論証に憑かれた帝国
第三章 「昂奮するな。質問し続けるがよい。そうすれば彼らは答弁することであろう」---フロイス、ロレンソと日乗上人との論争について
I レトリックとしての宗論
II ロレンソ対日乗
III フロイス対日乗
第四章 「この桁外れの人物は本当に”実在”したのか」---リチャード・ウェイトリーの『ナポレオン・ボナパルトに関する歴史的疑義』について
I 相手の主張を不条理に帰結させる論法
II ヒュームの「奇跡論」
III ウェイトリーの反論
あとがきにかえて---レトリック教師の報酬について
引用・参照文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

珈琲好き

11
織田信長って存在自体がなろう系転生主人公だよね。2015/09/14

袖崎いたる

6
帯文が「闇の修辞学」なのね(笑) たしかに闇のゲーム的なところはあるが。著者が言うとおり、やたらに屈服=納得させたら勝ちって面が押されている。文系学生が現場で使えない〜っていう企業の側の嘆きみたいなのにも関わってきそうなくだりさえある。古代ギリシャのあたり…いや、ローマ時代のくだりとか。しかしこの本でもっとも夢中になったのは、織田信長が純粋に言論のロジックその骨子に目を向けるという、説得されるのに具体的なものを重視する日本人からしては異色の関心を持っていて、宣教師にちょっかいを出していた宗論紹介のくだり。2021/01/07

富士さん

5
自明の正しさを議論の対象にはしない。すべての議論は白だと思っている相手を黒かもしれないと言いくるめること。つまり、すべての議論は詭弁を目指す。「挙証責任を相手に持たせよ」とか「所詮知識が多い方が強い」など、具体的な技術も紹介されていますが、これが一番の名調子でした。レトリックが詭弁の技術であると言うなら、ロジックもまた詭弁である。日々出会う論争の場面では、ロジックもレトリックも相手があらかじめ持っている正しさをくすぐるための技術という意味では同じ。社会的に見るならば、「それは詭弁んだ」というもの詭弁。2023/07/22

どみとる

3
レトリックは偽善的な解釈によって正当性を与えられて過ぎている―。その不当な市民権獲得を危惧する著者は、レトリックが本来持っていた狡猾で邪悪なポジションを取り戻してやるべく、付与された余計な正当性をひっぺがす作業にせっせと勤しむ。誰もが「正しい」と思う意見に弁論の技を凝らす余地はないから、レトリックは必然的に「正し」くない判断を論証しようとする、つまり詭弁を志向する。古代ローマにおいては知識で論破できてもなんら名誉ではなく、むしろ知識の助け舟なんか借りずに卓越したレトリックのみにより論証できること2024/11/17

CCC

3
出だしのレトリックは人畜無害な技術ではない宣言に笑った。過去の論争などを取り上げ、そこでどのようなレトリックが使われているかを解説している。古代ローマの修辞学校と、織田信長の前で行われたフロイス・ロレンソと日乗による宗義論争についての部分が面白かった。歴史好きは楽しめるかも。詭弁術に期待していた人は拍子抜けするかもしれないが。2018/10/24

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