内容説明
直木賞受賞作「ミミのこと」を含む名短篇集。
病気や飢餓をともに乗り越えた戦友・朝日丸と〈ぼく〉。戦後、朝日丸は浪曲師として有名になり、11人の原爆孤児たちを引き取って新聞にも載るが――。
「浪曲師朝日丸の話」と、耳が不自由で売春を生業としていたミミとの切ない純愛を描いた「ミミのこと」という第81回直木賞受賞作を中心に、夜の生活を拒否し、周囲にまったく気を使わない悪妻に嫌気がさして、かいがいしく世話を焼いてくれる女性との再婚を決意するが、その彼女が作った味噌汁の味に失望する「味噌汁に砂糖」、私小説的要素が強い表題作「香具師の旅」など、軽妙なタッチのなかにノスタルジーと深みを詰め込んだ珠玉の短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
UPMR
1
やってることはブコウスキーなんかと同じだが、ふしぎと品がよく、哀感があるのは、語りのスタイルが性に合うからか。たどたどしく思いついたことを思いついた順に語っているようで、ふいにビシッといい表現で締めてくれるから、読んでいくうちにチューニングがあって最後まで読めてしまった。実は時系列の入れ替えもよく工夫されてる。時々、なんでこの語り手はこんなモテるんだと思わなくもないが、私小説風である以上文句をつける筋合いもないか。「ミミのこと」、「鮟鱇の足」がとくによく、「味噌汁に砂糖」の意外な切れ味のよさも捨てがたい。2026/01/19
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