内容説明
武田信玄の娘、春姫は嫁ぎ先の北条家より戻されてきた。両家敵対のためである。迎える母、三条の方は戦乱の世での女の幸せに思いを巡らせる。三条自身も政略結婚で武田家に嫁いで来たのだ――。武田から北条へ、今川から武田へ、北条から今川へ。同盟のため、姫たちは命じられた家に嫁いでいった。戦を避けるための結婚は戦によって終わりを迎える。運命に翻弄されながら、人生を生き抜いた女たちを力強く描く!
感想・レビュー
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緑つばめ
2
戦国時代の姫君は戦略結婚されられたあげく、戦となれば、仲が良くても離縁となる。この本は武田家の姫君達を中心した、戦国の世の女性達の物語です2025/01/07
白やぎさん
1
政略結婚の道具にされた、北条、今川、武田の姫たちの物語。冷徹に見える三条の心の揺らぎの描き方がよかった。息子を自害に追い込んだ夫信玄への恨み、しかし過去の三条の言葉が引き金となっていたことを知れば、夫の生き方を受け入れざるを得ない。姫たちもそれぞれ、戦国という時代に翻弄されたようにみえるが、自分なりの形で矜持を示していたように思う。そこが救いだ。「宿命とのみ思うて励むことをやめれば、その道は諦めに通ず」という言葉に作者の狙いがあるのではないかと思った。2025/02/06
モリメン
0
武田の姫君らとそこにつながる本願寺の如春ら、戦国時代の女たち生き様を写した贅沢な小説 2025/08/21