内容説明
〔ゴンクール賞受賞〕殺し屋、売れない作家、軍人の妻、がんを告知された男。彼らが乗り合わせたのは偶然か、誰かの選択か。パリ発の航空機がニューヨークに向けて降下をはじめたとき、異常な乱気流に巻きこまれる。乗客は奇跡的に生還したかに見えたが。先読みできない衝撃のエンタメ小説! 解説/斜線堂有紀
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
神太郎
41
気になってた単行本がepi文庫化ですか!?てっきりSFから出ると思っていたのですが。読んでみて「これ、SFって括りだけじゃ説明できない!」って位ジャンルが切り替わりますね。タイトル見るとホラーっぽい。でも、序盤、中盤、終盤とコロコロその作風が変わる。終盤はなんとドラマチックなことか!てかこういう切り口もあるんだなぁ、このジャンルでと唸ってしまった。序盤の長い助走を耐え抜けば面白くなるけどそこまでが長いのが人を選びそうな所。2025/01/13
にいたけ
39
フランスでベストセラー。斜線堂有紀さんが後書き書いてる。全く予備知識無しに読んだ。あらすじ書くのは差し控えるが例えれば、「宇宙人が攻めてきた🤔だけではなくAさんの家に宇宙人がやって来ました。Aさんはどうすべきですかねぇ🤔」「個別にやってくる宇宙人って何?何でうちに来るの?」自分事に考えると見えてくるものがある。その意味はどういうことなのか?意味付けすることは哲学的?なのか?自分が下した判断は正しかったのか?そういう事が怒涛のように描かれる。ミステリなのかSFなのかジャンル分け難しい。着地点わからんから☺️2024/12/22
Shun
27
フランス発の衝撃的大作が待望の文庫化。予想より早く文庫となって登場し興奮冷めやらぬまま一気に読了。あらすじにざっと目を通し読み進めていくが、プロローグの不可解な事態に薄気味悪さを抱えたまま第一部は各登場人物の状況描写に終始し”異常”とは何かがはっきりしない。ここまでなら退屈して本を置いてしまう読者もいるかもしれないが、「異常[アノマリー]」というタイトルの魔力に最後まで引き寄せられた。これは確かに分類し難い小説と言え脳を揺すぶられる快感があり、エピローグはタイポグラフィな工夫がありしばし呆然とする読後感。2024/12/11
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
26
印象が二転三転するSF小説。ホラーと書いてあるが、それほどホラーでは無く、ラストの方にぞっとする進行がある。ネタバレが怖いのであまり書けないが、とても面白かった。笑えるところもあってSF好きなら楽しい。2025/01/07
秋田健次郎
15
よくある群像劇風の一章から一転、二章から突如としてSFが始まるフランス産の海外小説。SFらしい科学描写が来たと思えば、古典からの引用がバンバン出てくる純文学になり、かと思えば、切ないラブストーリーが始まったりもする。私は単純にエンタメSFとして楽しんだけど、それ以上の哲学的な問いが含まれているとも感じた。「格式高い文学賞を受賞しながらもベストセラーになった」というあとがきでの説明になるほどと納得した。海外の純文学的な雰囲気に興味があるけど文芸に振り切るのは怖いという人におすすめかもです。2025/01/03