内容説明
大正期の作品群から、エキゾティシズムを超えて異邦を夢みながら美女と美食に惑溺する創造世界に、『痴人の愛』『卍』へと連なる萌芽を再発見する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
二木弓いうる@作家の赤ちゃん
6
谷崎潤一郎が魅せられた異国の言語を紐解く一冊。真面目な内容ではあるが、谷崎らしく(?)時々エロスも感じられる。2025/09/30
gonzou ingandaruma
4
谷崎潤一郎が好きで、外国語も好きで、手に取りましたが、結構学術的な真面目な話だったので驚きました。谷崎が撮った映画フィルムが残ってるなんてことはないのが残念。人面疽の話はおぞましくて印象に残ったでしょうか、中国に対する芥川と谷崎の立ち位置の違いも初めて知りました。独探という言葉も新鮮で楽しい。2017/04/05
これっと
3
グローバルという言葉が頻りに叫ばれている今、谷崎潤一郎もグローバルな人間の1人だったのではないかと思います。関西、中国、インド、欧州あらゆる異国での体験や情緒を自らの文学に落とし込む感性。決してunfamiliarな物を拒絶するのではなく、吸収する開かれたメンタリティ。当時の人間としては先駆的な存在だったに違いありません。彼ほど他者の生/性に貪欲な人物は今の時代ですら可なり少数ではないでしょうか。谷崎潤一郎文学のルーツを探る貴重な一冊、ファンならば是非。2017/05/19
Sherlock Holmis
1
恥ずかしながら谷崎潤一郎の小説というと「刺青」くらいしか読んだことがない、しかし、筆者による縦横無尽な引用と、舞台の台詞めいたドラマチックな書きぶりを追っていくことで、谷崎が作家人生を懸けて構築した豊潤な物語世界に迫ることができた(専門外の筆者がここまで書けるのはよほど深い敬愛の反映か)。中国の裏町、インドの妖術。すばらしい。2016/06/12
たらら
0
言語としての異国に反発しながらも憧憬を抱きつづけた谷崎。あくまで言葉の人であった作家の本質を「翻訳」をキーワードに切り出したのは見事。2015/05/18




