死にゆく過程を生きる――終末期がん患者の経験の社会学

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死にゆく過程を生きる――終末期がん患者の経験の社会学

  • 著者名:田代志門【著】
  • 価格 ¥2,750(本体¥2,500)
  • 世界思想社(2024/11発売)
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  • ISBN:9784790716785

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内容説明

告知、療養環境の選択、何かを遺すこと、お迎え体験――在宅緩和ケアを受け、自宅で最期を迎えたがん患者たちの語りから、「自らの死を予見しつつ今このときを生きる」という、「日常の生」と地続きにある「死にゆく過程の生」を描き出す。

目次

序章 現代社会においてなぜ死が問題になるのか
1 焦点としての「死にゆく過程」
2 病院死の時代
3 「死にゆく過程」の発見
4 死の問題の現代的位相
5 「死にゆく過程」の社会学へ
第1章 「良い死」の実現――ホスピス・緩和ケアの可能性と困難
1 近代ホスピス運動の誕生
2 ホスピス・緩和ケアの日本的展開
3 誰のための「良い死」か
4 在宅緩和ケアの可能性
5 施設と在宅の二分法を超えて
第2章 未決の問いとしてのがん告知
1 日本におけるがん告知
2 在宅がん患者の告知体験の語り
3 告知後のケアを考える
4 「個人誌の断絶」を生きる困難
第3章 治療を「あきらめる」経験の語り――死にゆく過程における自己の多元性
1 あるがん患者の生活史
2 困難な意思決定への直面
3 一つの生と複数の自己
4 「死にゆく過程」と生の豊かさ
第4章 受け継がれていく生――死にゆく者と看取る者との関係の継続
1 終末期ケア・死別ケアにおける継承性へのアプローチ
2 「受け継がれない意思」とどう向き合うか
3 多様な継承関係へ
第5章 死者との邂逅――終末期体験としての「お迎え」
1 死の臨床とお迎え体験
2 「お迎え」の意味するもの――文化的な死と生物学的な死
3 お迎え体験の実相――誰が迎えに来るのか
4 お迎え体験をどう理解すべきか
5 終末期体験の「ノーマル化」に向けて
終章 死にゆく過程をどう生きるか
1 死にゆく過程を捉える三つの視点
2 決定と非決定のあいだを生きる
補論1 地域社会におけるホスピス運動の形成と展開
1 市民運動としてのホスピス運動
2 近代ホスピス運動の歴史と日本のホスピス
3 調査の方法と対象
4 三つのホスピス運動の形成と展開
5 三つの「理念」の競合
6 結びに代えて
補論2 ホスピスボランティアの意義と可能性
1 新しいボランティア像
2 参加型福祉社会論と「ボランティアのとり込み化」
3 ホスピスボランティアの世界
4 社交としてのボランティア
5 結びに代えて

あとがき
文献
事項索引
人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たろーたん

3
「プロセスとしての死」ってのが興味深かった。死に目に遭えないというような死ぬ瞬間主義が日本にはあるが、緩和ケアの専門家によれば死にゆく過程にじっくりと向き合った家族は、最後の瞬間にそこまで固執しないみたい。死ぬ瞬間への過剰なこだわりは死が病院化され、死にゆくプロセスが充分に共有しにくくなった時代こその現象かもしれない。また、「病院死」から「死にゆく過程」の変化も面白かった。「病院死」は本人が事実を伏せられ、家族と医師で治癒して社会復帰するというシナリオでストーリーが進展していき、(続)2022/03/04

Schuhschnabel

3
終末期がん患者のケアについて、臨床から一歩引いた社会学の立場から述べられている。ホスピス病棟においては患者から死にゆく者以外の役割を奪ってしまう可能性があるという問題提起から始まり、病名と予後の告知の仕方、患者の人生の語りの複線性、死にゆく者から残されるものへと受け継がれる意思、死にゆく者と死者との「お迎え」という体験を依り代とした関係、そしてケアする側の思想や素人のボランティアの役割について考察がなされている。2017/02/11

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