内容説明
「もし自分に飽きたなら、いくらでも取り替えてしまえばいいのよ」。美容整形をくり返すばあちゃんは言うけれど、私は、なりたい自分がわからない。見られることの痛みを描く、紗倉まなの最新小説!
周囲に馴染めずバイト先をクビになり、グラビアアイドルの仕事を始めた辰子。
売れっ子の仕事仲間はSNSの評価に神経をとがらせ、79歳のばあちゃんは傷跡を重ねながら整形をくり返す。
ゴールの見えない「美しさ」に追われ、ままならない体と生きづらさを抱える彼女たちは……。
野間文芸新人賞候補となった『春、死なん』に続く、新境地注目作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kei302
47
整形を繰り返す70代後半の祖母は著者本人の祖母がモデルだそうで、そうすると、グラドル辰子は著者紗倉さん自身なのかもしれない。ページ数少なめ、人間関係シンプル 会話文多めで読みやすいのに結構な衝撃作。痛みをものともせず美容整形を繰り返すばあちゃんに圧倒された。NetGalleyJP2024/12/07
もぐもぐ
43
バイトを転々とし、グラビアアイドルとしてもぱっとしない辰子。祖母は70過ぎてなお美容整形を繰り返す。先が見えないまま過ぎてゆく日々が綴られるが、日常って案外こんなふうに淡々とした毎日の積み重ねかもしれない。熱量を感じない辰子も、傷の痛みに耐えながら飄々と生きる祖母も不思議な強さを感じるが、その間に挟まれた母の心境はどうだったんだろう。 #NetGalleyJP2024/12/04
遠い日
7
いくつものバイト先を首になり、現在はグラビアアイドルをしている21歳の辰子。美への憧れはないに等しい、消費される自分をじゅうぶん理解しつつ仕事をこなす日々。それに比して、79歳にして美容整形を繰り返す祖母の美しさへのこだわりには、執念さえ感じる。出自がわからず貰われ子だったというこの祖母の人物造形が実に秀逸だ。終わりなき美の追求も、いずれ死をもって霧散することの容赦ない理には真実がある。辰子と祖母の会話に垣間見える生きることへの熱。そして、美と醜という線引きのままならない鬩ぎ合いが畳み掛けてくる。2024/12/05
DI
2
紗倉まなさんらしい人としての本質に鋭く切り込んでいかれてるのが気持ちいい。 女性が生きていくのにはこれほど難しいことが多いのかと痛感させられる。 もちろん男性が生きていくのも大変な世の中なのですが、女性ということだけで周りの人にあれこれ言われるのだなぁと思った。2025/01/12
凪
2
初読み作家さん! 美容整形を繰り返す祖母と、グラビアアイドルを続ける主人公。 物語の起伏は少なく、驚きや感動は少ないけど、不思議と読んでて気持ちのいい作品。 ちょっと他の作品も読んでみたくなりました✨2024/12/26