内容説明
竹千代は今に天下を掌中に入れおるぞ――。
室町幕府の権威が低下し、各地で戦乱が巻き起こっていた激動の時代。
松平家が城を構える三河、周辺国である尾張、遠江、美濃、駿河、信濃らが絡む東海地方の覇権争いは熾烈を極めていた。
そんな争いのなかで、織田家ついで今川家の質物として囚われていた松平家の竹千代――後の徳川家康。
数奇な運命を辿った幼少期から天下人へ。
直木賞候補『まいまいつぶろ』の著者が、天下統一を果たした男を鮮やかに浮かび上がらせる十の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
155
村木 嵐、3作目です。著者は男性だとばかり思っていたら、女性でした。竹千代、家康の生涯を描く連作短編集、オススメは、表題作「いつかの朔日」&「府中の鷹」です。 https://www.bungei.shueisha.co.jp/shinkan/sakujitu/2025/02/21
パトラッシュ
141
2代続けて当主が横死した三河松平家は、いつ滅びても不思議でないほど弱体化していた。そんな家を必死に支えた鳥居忠吉ら三河衆は、今川の人質とされた幼主竹千代の帰還に全ての望みを託す。自分たちが散々に苦しんだ世を、いつか彼こそが救ってくれるのだと。やがてその夢は、竹千代が天下人になるとの幻想を抱くに至る。しかし弱いことの惨めさ苦しさを知り尽くした竹千代=家康は、忍耐を重ね好機を逃がさず夢を現実のものとしていく。忠吉から夢を伝えられた孫の元忠らが夢に生き、夢に殉じる姿は、満たされた人生を得られた喜びに輝いている。2024/12/27
みっちゃん
132
よくぞ。年若い当主を2代続けて謀殺により失い、たった1人残った跡継ぎの少年は他家の人質で明日の命も知れない、からの!徳川治世15代の礎を築くとは。人質生活で培われた我慢強い性格と慎重に先を見通す家康自身の才だけではない。艱難辛苦を堪え忍びながら色褪せる事のない、家臣達の家康への絶対的な信頼と連帯感、そして陰で支える女性達の強さがなければ叶わなかった事なのだろう。無意識のうちに、あの大河での松重豊さんで宛読みしていた、石川数正の逐電の顛末を描く『出奔』がより胸に響いた。2025/02/20
hiace9000
130
主君・家康に仕えた鳥居父子はじめとする様々な人物の視点から連作短編で描く一代記。人智を越えた運命の力が天下人の命運を左右した戦国の世、生々世々の流転をたおやかで細やかな描写でふわりと浮かびあげ描く絶品の村木筆力は、さすが歴史小説の第一人者。時間をかけて美文を味わいじっくりと読む。言葉なくともやがて似てくる親子の姿ふるまいや会えないままでもやがて伝わる親子の情。血生臭い覇権争いのなか、家康に忠義を尽くした家士が「空のあわい」に見た幻に象徴される武士の信義と生きざまが胸を打つ。『七分勝ち』には思わず感涙した。2025/04/04
ちょろこ
123
伝わる一冊。徳川家康をというより家臣たちの心が伝わる10話。いきなり知らない武将、阿部大蔵って誰よ?状態のスタートながらも次の章からは一昨年の大河ドラマのおかげで読み進められた。母子の別れを描いた家康の母、於大の章「戻橋」、爺こと鳥居忠吉にスポットを当てた「いつかの朔日」が印象的。いつか天下をと信じて疑わない爺の姿がいい。元忠へと藍色の首巻に託された想い、石川数正出奔理由といい家康は本当に家臣たちに想われ支えられてきたことがひしひしと伝わる。「儂はもう厭じゃ!」最終話、人間臭い家康の姿を味わえて良かった。2025/01/12
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