内容説明
いつの時代も、高貴な方々の結婚は難しい
美貌と聡明さで知られる梨本宮伊都子(いつこ)妃。愛娘・方子(まさこ)を皇太子妃にと望むが叶わず、朝鮮の王世子・李垠(イウン)との縁談を思いつく。娘の幸せを願い、この結婚を成功させるべく伊都子は奔走するが……。明治から昭和にかけて波瀾の生涯を送った女性皇族の視点で、華麗な世界と高貴な者の知られざる内面を描く歴史小説。
解説・浅見雅男。
単行本 2021年11月 文藝春秋刊
文庫版 2024年12月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
17
2024年読み納めの一冊。スピンオフの皇后は闘う事にしたを先に読んでしまいましたが、この背景にはこれがあったのよねと思いながら読むことが出来たのでどちらを先に読んでも支障はないように思いました。また、ここまでリアルに作品を仕上げられたのはやはり詳細な日記を綴っていたおかげともいえるでしょ。この話しの中には現代の日本人が知らない歴史があり、とても興味深く読むことが出来ました。2024/12/31
Sakura
14
梨本宮伊都子妃の娘・方子女王は大正9年に朝鮮の王世子に嫁ぐ。渡辺みどり氏の「李方子妃」では、この縁組は波多野宮内大臣から出た話で、どうにも断れなかったとあったが、本作では、東宮(昭和天皇)妃は良子女王に決まったと聞いた伊都子妃が画策したものとなっている。李王家の縁談というより、当時の皇族の縁談がいかに難しいものであったかというのが焦点となっている感じ。真実はわからないが、色々な視点から読むのもとても興味深い。2025/07/24
たけはる
9
ロイヤルな話が読みたくなって。伊都子妃が名仲人として活躍するも、時代の流れに抗いきれず晩年を迎えるまでの話。人様の縁談に命を懸け、情熱を燃やしては生き生きと東奔西走する。こういう世話焼きマダムいるよなぁと苦笑しつつ、でもこういう人がいてくれると助かる場面があるのも事実。最後まで気高く皇族としての誇りを貫こうとした姿がお見事でした。2025/02/26
つっきー
8
梨本宮伊都子が長女の方子の縁談に奔走するところから始まる。相手は朝鮮李王朝のちの第二代李王。果たしてこの結婚は上手くいくのか? その後も方子の妹規子、李王の妹徳恵の婚姻も伊都子が主導していく。大正から昭和へと時代は移り、日本は戦争へと突き進む。大きな時代のうねりがあり、その時々の皇族の心の動きが興味深かった。2025/03/29
Nazolove
8
何気に感想書いてなかったこれ(笑) さておいて、李王家、なんて言われてもどこのこっちゃ、と思うくらいに貧民街道突っ走っている私。 現代よりもやっぱり病に伏してしまう率が高いのが時代を感じる作品であった。 そして金持の家にいそうなちょっと頭悪そうな金持の書き方がこの作者の書きそうな内容っぽいのもなかなか面白い本であった。 ドラマを求めるよりも一歴史本、として読んでいただいた方が分かりやすいのかな、なんて思う本であった。2025/02/18
-
- 電子書籍
- Fielder別冊 De-Fi vol…