芦部信喜 平和への憲法学

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芦部信喜 平和への憲法学

  • 著者名:渡辺秀樹【著】
  • 価格 ¥2,090(本体¥1,900)
  • 岩波書店(2024/11発売)
  • ポイント 19pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000614276

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内容説明

「総理,芦部信喜さんという憲法学者,ご存じですか」「私は存じ上げておりません」(国会答弁より).戦後憲法学のスタンダードをつくったのは,どんな人物だったのか.学徒出陣の戦争体験.実際の裁判にも関与し,後半生を懸け「憲法訴訟論」を開拓するまで.独自入手した資料を交え,その足跡を再現する.識者一三名のインタビューも収録.

目次

まえがき
第1章/源流 伊那谷から
駒ヶ根の原風景/向山雅重の実地教育/臼井吉見との出会い/信濃宮神社造営への動員/学徒出陣で知った軍隊/実家への遺書,友の戦死/終戦後の文化運動で雑誌発行/「戦争放棄」の草案要綱/リベラリスト・宮沢俊義/ラートブルフの論文に感銘
第2章/憲法改正と自衛隊
平和主義徹底から憲法擁護へ/政府の調査会発足/両論併記の報告書/恵庭事件─裁判と学界に橋を架ける/肩透かしの判決/長沼事件─初の違憲判決/攻撃される前文/九条と現実との相克
第3章/人権と自由
公務員の政治活動問う猿払事件/統計局事件で法廷証言/最高裁の変質,公務員に厳しく/違憲性判断の「二重の基準」/教科書裁判/裁判所の使命は/東大ポポロ劇団事件/プライバシーの権利/社会保障闘争のシンボル「堀木訴訟」
第4章/国家と宗教
閣僚の靖国神社公式参拝/靖国懇議事はブラックボックスに/地鎮祭と靖国参拝─「政教分離原則」早速議論に/「結論」に向けた誘導/展開された違憲論/議事録なき激論/公式参拝促す「結論」/戦没者の願いを胸に/自衛官合祀拒否訴訟/最高裁での暗転
第5章/象徴天皇制とは何か
国事行為以外の「公的行為」/明治憲法の残像/政治利用問題/代替わり儀式/人権の制限という論点
第6章/インタビュー 芦部憲法学から現代を問う
前川喜平 樋口陽一 辻村みよ子 高見勝利 戸波江二 青井未帆 江田五月 長谷部恭男 渋谷秀樹 那須弘平 木村草太 石川健治 遠藤比呂通
番外編/二つのスクープ
1 靖国懇議事録は存在した
内閣官房 情報公開請求で開示/議事録の半分は不存在 理由は「不明」
2 自治体トップと護国神社─政教分離はいま
県護国神社 寄付集めにも知事の名前/「個人としての活動」で通用するか/宗教と結びつく「公」
あとがき
主要参考文献
附録 「閣僚の靖国神社参拝問題に関する懇談会」(第七回)議事録

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

28
改憲を目指していた安倍首相が名前を知らなかったとして、バカにされた事で知られる芦部信喜。そんな私も、日本を代表する憲法学者くらいの知識しかなかったのでバカにできない。信濃毎日新聞の編集委員がまとめた本著は芦部氏の生涯と様々な功績をバランスよく紹介する良書。法の解釈にとどまらず、現実の法のあり方も追求する姿勢はもっと最近の学者にも見習ってもらいたい。立法事実論や憲法改正限界論、中曽根康弘首相の靖国参拝の諮問懇談会で違憲性を指摘した、目的効果基準など法学部出身者にとっては色々と興味深いテーマが多かった。2021/02/28

nagoyan

14
優。実に面白かった。本書は、信濃毎日新聞に掲載された記事を書籍化したもの。戦後憲法学を牽引した芦部の為人とその学問的業績が、いかに時々の社会問題に関わっていたかを記す。芦部の業績は、学問的に優れているという点だけでなく、現実の司法に影響を与えてきた。その多くは、芦部の描いたようにはならなかったかもしれないが、少なくとも、私たちにとって、最高裁の姿勢を客観的に検討する視点と基準を手に入れることを可能にしたという功績が残ったように、僕には思えた。白眉は第4章と附録。無念のほどが偲ばれる。2021/01/24

seki

12
学生の頃、色々な憲法の本を試したが、一番しっくりきたのが、芦部先生の「憲法」。その理由が本書で少し分かった気がする。学術論になりがちな憲法解釈だが、芦部先生のそれはどこか人間くさい。憲法があって、人間がいるのではなく、人間があって、憲法がある。そんなところだろうか。芦部先生の憲法論の背景は、戦時中の悲惨な体験に基づくらしい。そう考えると、芦部先生は憲法と同じ時代を生きてきた。21世紀を迎える前にお亡くなりになったのが残念。願わくば今の時代をどう読むか聞いてみたかった。2021/04/04

クサバナリスト

9
芦部さんがこれほど重大裁判に関わっていたのか知らなかった。 私が学生時代、読んでたのは佐藤功『日本国憲法概説』と佐藤幸治『憲法』。芦部さんの『憲法』の出版は卒業後のため読んだことない。そのうち読んでみたい。2021/04/03

べんぞう

1
憲法判例は一通り押さえてあるし,芦部教授の本は一通り読んであるので,若干退屈な本ではあった。違憲審査基準や憲法訴訟についての概説,芦部教授の生涯についての記述を期待したが,そのような記載ばかりではない。著者の政治的思想が強く出ていた感。新聞連載なのでやむを得ないが…。2022/05/02

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