岩波新書<br> 教員不足 - 誰が子どもを支えるのか

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岩波新書
教員不足 - 誰が子どもを支えるのか

  • 著者名:佐久間亜紀【著】
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • 岩波書店(2024/11発売)
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  • ISBN:9784004320418

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内容説明

新学期に担任の先生がいない,病休の先生の代理が見つからない…….そんな悲鳴が全国の学校で絶えない.少子化にもかかわらず,事態が深刻化するのはなぜか.過密化する業務,増大する非正規,軽視される専門性など,問題の本質を独自調査で追究.教育格差の広がるアメリカの実態も交え,教育をどう立て直すかを提言する.

目次

はじめに
第1章 教員不足をどうみるか──文科省調査からはみえないもの
ある先生の「絶望」
「妊娠してしまいました」
それでも先生になりたい
「もう職員室で子どもの話ができないんです」
子どもたちへのしわ寄せ
文科省の教員不足調査
際立つ特別支援学校の教員不足
文科省調査の意義
文科省調査の課題
教員不足の再定義
第2章 誰にとっての教員不足か──教員数を決める仕組み
「先生はいませんが,不足はしていません」?
文科省調査の定義とは──配当定数を基準にした不足
誰が教員定数を決めるのか──国と地方の中間型
教員定数を決める仕組み
教員数が学級数と連動する仕組み──日本方式の特徴
義務標準法の理念
アメリカの教員数決定方式
アメリカ方式の特徴──複式学級の常態化
学級という教育方法
社会を反映する学校,学校を反映する社会
基礎定数と「乗ずる数」
加配定数とは
条例定数と予算定数
配当定数──義務標準法の運用をめぐる問題
端数切り下げによる教員削減
自治体独自の解釈と定数措置
「プール定数」「浮き数」
配当定数を基準にすることの課題──誰にとっての教員不足か
第3章 教員不足の実態──独自調査のデータから
独自の調査を実施
実態に迫るための調査設計
教員不足をとらえる五つの視点──未配置を把握するために
視点① 何を基準にした誰にとっての不足か
視点② いつの時点での不足か──三学期の不足数は一学期の約二倍
視点③ どの自治体・地域の不足か
視点④ どの学校種・教科の不足か
視点⑤ どの雇用形態の不足か
非正規雇用教員とは
非正規雇用は大別すると三種類
教員不足には四段階ある
不足は教員の自己犠牲でカバーされている
教員不足を生んだ教員配置体制
教員不足の原因──非正規依存の末に
教員不足を再定義する必要性
なぜ正規雇用が減ったのか──少子化による採用控え
特別支援学級の増加と採用控え
教員採用試験の応募者の減少
思わぬ欠員の増加
非常勤講師の高齢化
学校現場への影響は
第4章 なぜ教員不足になったのか(1)──行財政改革の帰結
正規雇用教員の削減
教職員定数改善計画の中止
教員の非正規化
国の主導的役割の維持
加配定数と実態の乖離
教員数の地域格差の拡大
教員の数を保障する仕組みの喪失
教員給与の削減
教員給与を保障する仕組みの喪失
国庫負担を三分の一に減少
地方公務員の削減と非正規化
行政改革の帰結としての教員不足
第5章 なぜ教員不足になったのか(2)──教育改革の帰結
効率性を追求する組織改革
教員評価体制の導入
教員免許更新制度による教職の不安定化
教育内容の増加
教員一人あたりの担当授業時数の増加
授業方法改革とテスト対策
学習評価作業の増加
教員自身の学習機会の縮小
授業をめぐる価値観の対立
子どもと社会の変化
長時間労働の深刻化
教員の健康状態とメンタルヘルスの悪化
時間外勤務は「自主的な活動」
志願者の減少と「教員離れ」
小学生の「将来つきたい職業」でランク外に
そもそも教職の魅力とは
教員不足に至ったプロセス
第6章 教員不足をどうするか──子どもたちの未来のために
行政はどう対応してきたか
実態調査から不足の原因を分析する
非正規需要の急増を防ぐ──国がすべき対策①
教員の労働環境を改善する──国がすべき対策②
余剰にみえても必要な人員
少子化はむしろチャンス
地方自治体の対応策
病休・育休復帰支援──地方自治体がすべき対策①
標準授業時数の運用改善──地方自治体がすべき対策②
第7章 教員不足大国アメリカ──日本の未来像を考える
教員不足大国アメリカの現実
不足率の格差
窮地に立つ公立学校
軍人を教壇に迎える
海外から先生を「輸入」
コロナ禍による大量退職
アメリカにおける教員不足の背景
分断の最前線としての教育現場
教員養成機関にも批判の矛先
女性化された教職
教育政策の地方分権と個人主義
広大な国土と地域格差
生まれた境遇で一生が決まる社会
ミドル・クラスの苦悩とセーフティ・ネットとしての学校
富裕層の私立学校
第8章 誰が子どもを支えるのか──八つの論点
自分の立場・視点を相対化する
公立学校は社会のライフライン
日本の教職員数は先進国で最少
論点① 教員数の地域格差をどこまで容認するか
論点② IT技術は教員の代わりになりうるか
論点③ 教員数の決定方法をどうするか
論点④ 教員の待遇をどうするか
論点⑤ 教員の数をどう確保するか
論点⑥ 教育予算をどうするか
論点⑦ 今後も公務員数を削減し続けるのか
論点⑧ ケア労働を社会にどう位置づけるか
おわりに
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

hiace9000

112
ざっくり通読。気に留めた部分に付箋を残していくと、あっという間にいっぱいに。あまりに深刻な教員不足の実態と現場の窮状。後段には米国の実情が詳述。さらに劣悪で、目を疑う格差と分断の事実に、こうなったらもうお終いだと…。ただ、その傾向がもしかして少しずつ見えている?ようにも感じてしまう昨今なのです。本書が「教員不足」の解決の方途を示しているわけではないのですが、この国の誰もが今こそ共通の認識に立って、今のこの現実と未来を生きる子どもたちの将来を見つめて、教育の崩壊だけは食い止めねば!との思いになります。2024/12/05

あすなろ@no book, no life.

91
4月に我が子のクラス発表がある日に、貴方のクラスの担任の先生はまだ見つかっていないので発表出来ませんと言われた親子はどうそれを捉えるだろうか。実際あった話だそうである。教員不足や教員の働き方改革が云われて久しいが、本書を読みながら折しも我が子の授業参観に行った身としては色々考えさせれるものがある。本書ではそれは行政側政策と共に翻弄された結実と一つの理由としているが、世界的にも少子化が進行する状況での教員不足が起きる国の例はないのだそう。子供と教育は国の宝。我々も考えなくてはならない。考えさせらる。2025/11/02

どんぐり

87
教員不足の実態に迫る論考。本書が指摘するその最大の原因は、年度当初から配置されるべき正規雇用教員が確保できず、臨時的任用教員への依存が過度に高まったこと。さらに、教員免許更新制度の導入と撤廃に至る政策判断の誤りや、国の行財政改革や教育改革によって教育現場に過大な負荷がかかっていることも問題として挙げられる。「子どもが好きで教員になったのに、子どもより書類に向き合う時間が増え、専門性を生かす授業への挑戦の余力も失われた。経済的安定も長時間労働によって割に合わず、家庭生活との両立も困難になった。→2025/11/11

へくとぱすかる

53
想像以上に長期的な問題だとわかる。かつては先生が不足しないように、日本のシステムはよくできていたのに、バブル崩壊後、なしくずしに先生の数を減らす方向に向かっていった。そこに長時間労働と残業手当なし、などなど過酷な現状が知れわたった結果、志願者が急激にいなくなった。著者はあくまでも子どもの立場からみて、先生たちを増やしていくための提言をしているが、行政はこれを果たして受け止めるだろうか。人口が減るから先生を減らそう、というのは拙速にすぎた。公表された数字以上に現場は深刻だから、統計は用心して読み取るべき。2024/12/04

1.3manen

52
図書館新刊棚。私の認識では、少子化で需要不足だから、供給不足はありえない、と思った。が、この本を読むと、人手不足の原因は、コロナと長時間勤務が大きいのでは思った。私は、教採には怨恨すら感じるが、目算を誤ったのは、コロナの影響であろう。長時間勤務や休日出勤で、ブラック化した学校だが、私は今、私立で待遇がいい方だと思う。非正規でも食えるから。加配定数:単年度限りの非正規雇用、多目的に配置できない(49頁)。私は、公立小中学校の経験はないが、家庭教師では、その子供はかなり見てきた。学校は硬直化したシステムだ。2025/03/15

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