内容説明
1945年敗戦。京都市内にも随所に星条旗が翻った。四条烏丸に進駐軍の司令部が置かれ、二条城脇の堀川通はアメリカ軍の滑走路となり、上賀茂神社のご神木はゴルフ場建設のために切り倒され、祇園歌舞練場は米軍専用キャバレーへと姿を変えた……。日本降伏の間際、幾度となく原爆投下の候補地としてリストアップされながら、紙一重で悲劇をまぬがれた古都の往時を、日米双方の史料と貴重な証言から紡ぎだす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
36
戦災を免れた京都、実は原爆投下候補地として再三検討(目標は現京都駅・鉄道博物館の地)されたことは有名(?)。二条城の東側・堀川通りが米軍飛行機の滑走路として使用された。祇園のお姐さん方が戦時中、風船爆弾を作ったり、入れ歯加工をしていた。太平洋戦争中と戦後の京都の知られていない様子あれこれをリポート。2025/03/01
おおかみ
9
戦時中と比べれば占領期の出来事を記した一般書はやはり少なく、大きな犠牲を免れた京都となればなおさら稀有である。ところがどうして、戦後間もない京都で行われていたことは局地的に見えて普遍的だし、観光都市としての性格をますます強める現代の姿を見つめ直す契機にもなる。本書で証言した山鉾連合会元理事長の吉田孝次郎氏も、裏千家前家元の千玄室大宗匠も相次いでこの世を去った。次の時代にいかにして平和を繋げるか。終戦から80年の日に御池通のカフェで読んだ。京都のメインストリートも建物疎開によって広がった歴史を持つ。2025/08/15
arnie ozawa
2
終戦直後の京都でいかにして古都を駐留軍から守るべく駆け引きしたか?なぜ、京都は原爆投下候補から外されたのか?昭和史に興味あるならオススメ!2025/04/28
はるさん
2
占領下という特殊な環境下での京都という街の記録として、まるでドキュメンタリーを見るようにとても興味深く読み進めた。進駐軍と行政機関や市井の人々との時に緊張感あり時にドタバタ感溢れる遣り取りは、一次資料に当たって書かれたものだからこその迫力あり。2025/04/01
茶々丸
2
進駐軍による占領の様子については、東京の様子はマッカーサーの写真やお堀端のGHQ本部の写真などが知られるが、他の地域での様子というのはイメージがわかない。 本書は、京都で進駐軍がどのように占領を展開したのか、その一部ではあろうが、追うとともに、なぜ京都が空襲を免れたのか、史料、証言を本に追っている。 興味深く読んだが、なぜか本書では文中に写真が一枚も出てこない(目次扉写真に、帯と同じ写真が1まいあるだけ)。文字で写真の内容を描写しているカ所もあり、写真が他にないわけではないと思うが、なぜなのだろうか。2025/02/17
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