内容説明
良かれと思ってやっていた行為が不正だった――。入札不正では贈収賄など私的利益を追求した犯罪だけでなく、違反だと思わずに犯してしまったという例は少なくありません。本書は入札に関わる人はもちろんのこと、設計・工事を進める受発注社を対象に、不正に巻き込まれないヒントを伝授する指南書です。
目次
第1章 法律はもう容赦しない
「談合=話し合い」の問題性 ほか
第2章 独禁法1 入札談合
競争の番人、不当な取引制限規制、意思の連絡、事実上の拘束で足りる ほか
第3章 独禁法2 入札談合だけが入札不正ではない
排除と支配、欺罔型、癒着型、廉売型、「支配」を通じた競争制限 ほか
第4章 入札妨害罪 膨張する入札における不公正
多発する入札妨害、膨張する「公正」概念、「公」の「入札」の射程
第5章 談合罪 「良い談合」はあるのか?
良い談合?、「公正な価格」の立法者意思と判例、青梅談合事件
第6章 官製談合防止法 入札不正処罰の切り札
天の声、官製談合防止法へのアプローチ、独禁法違反を前提にした規定創設の背景 ほか
第7章 随意契約論
使い勝手の悪い随意契約、1者応札、不成立の懸念と競争入札 ほか
第8章 入札不正の心理と構造
必要悪という意識すらない、政治的な利権構造として語られやすい ほか
第9章 コンプライアンス 入札不正にどう向き合うか?
「やむを得ない」は通じない、一般競争にすればよい訳ではない ほか
第10章 急がれるルールの整備
厳罰化に向けて、体裁からの脱却、透明性と説明責任 ほか