内容説明
「読みからおはりや、書く遊ばせたまえ、降りおりて、語りかたりましませ」
学校で、居酒屋で、読み聞かせボランティアで、各所で囁かれるそのおまじないは、唱えたものに勇気を与えてくれるという。
不登校の姉が別人のように明るくなったことに戸惑う少女。他人と上手く関わることができない青年。過去の事件で記憶の欠落を抱える大学生。
彼女達、“おまじない”を唱えたものの元には「ケガレ」と呼ばれる怪異が訪れる。
「ケガレ」に乗っ取られ、ゆったりと蝕まれる現実は、蕩けるように甘美で歪で――
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
64
「変わりたい」そう願う人をターゲットにした祈りのおまじない。まるで人が変わったかの様に明るくなり毎日を楽しく過ごしていたはずなのに…。姉が怪異に取り憑かれ家族を惨殺した少女や他人と上手く関わることができない青年、大きすぎる代償に蝕まれる人々。誰が何のためにおまじないを拡散しているのか?身体を乗っ取られ自分が消えていく恐怖に怯える彼らに救いの手を差しのべる“ハガシ”の力を持つ者たち。“ケガレ”と呼ばれる怪異との壮絶な戦いに恐怖する侵食系のホラー。我々が気づかないだけて“ケガレ”はすぐ身近にあるかも知れない。2024/12/03
aquamarine
62
不登校の姉がある日突然明るくなった、他人と上手く関わることができない青年はあるおまじないを唱えたことで人が変わったように他人と関わることができるようになった…。しかしそれは破滅への第一歩。彼らが変わったのはおまじないによってやってきた怪異「ケガレ」なのだ。乗っ取られたと気づいたときには自分ではどうにもならない。ケガレに関わる人たちは少しずつ重なって、物語の発端を探すように一気に読み進んだ。過去を探るのはミステリ的で、プロローグに続くエピローグに止めていた息を吐く。領怪侵犯と同じ世界線のようなのが嬉しい。2024/12/20
papako
48
人が変わったみたいに明るくなり、やがて周りを巻き込み自身も死んでしまうという怪現象。女子高生の死、大学生の事件から大元に切り込んでいく。根っこに2人の少年の思い出があり、プロローグからエピローグへときちんとつながる。『不幸になって欲しくない』切実な言葉だった。2人はまた再会できるのかしら。ぜひぜひシリーズ続けていただきたい。そして領怪神犯の世界と繋がっているみたいなので、もっと絡ませて欲しいです。ポイント消化で買って正解!一気に読んでしまった。2024/12/01
ポチ
44
弱った心や隙に付け込んで自我を乗っ取り最後は…!おぞましさ満点の"ケガレ”。ゾゾゾっ感に鳥肌!一気読みでした。あの人達が捜査してるのなら"ケガレ”は神なのか⁈ 続きを読みたいなぁ。2024/12/12
さっちゃん
42
人間を乗っ取り別人のように魅力的に振る舞って他人を惹き付け、乗っ取った人間も惹き付けた他人も殺す「ケガレ」。それに唯一対抗できる「ハガシ」と呼ばれる人たちとの闘いを描く憑き物系ホラー。/自分に自信が持てず「変わりたい」とおまじないを試す気持ちにつけこむとは卑怯な怪異。取りつかれたら自分でも気付かないうちに侵食され、操られていくうちに自我が消えていくのが恐ろしい。最強のハガシすら満身創痍で怪異の正体もはっきりしないのがやけにリアル。これはシリーズ化するのかな?「領怪神犯」のあの人もちょっと登場してニヤリ。2024/12/10