内容説明
怪談師を生業としている三咲は、訳あって“本当に人が死ぬ”怪談を探している。相棒は「呪いか祟りで死にたい」というカナちゃんだ。新たな怪談が見つかると、死ねるかどうか確かめてくれる。
ある日、カナちゃんが「釣ると死ぬ魚」の噂を聞きつける。静岡県のある川の河口付近で見たこともない魚を釣った人が、数日のうちに死んでしまったというのだ。類似する怪談を知らなかった三咲は、噂の発生源を辿って取材を始める。すると、その川沿いには不思議なほどに怪談の舞台が集まっていることが分かってきた。これは偶然か、それとも狗竜川には怪異の原因が隠されているのだろうか。
自分が生涯追い求めてきた“本物”の怪談の気配を感じ、三咲は調査にのめりこんでいく。しかし、うまくいくということは、カナちゃんが死んでしまうということだ。自分はそれを望んでいるのだろうか――?
解説:小野不由美
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イシカミハサミ
14
主人公は怪談の語り部。 収集した怪談に共通点を発見し、 移動しているのではないかと疑う。 その源流を探し求めて……。 ホラーであってミステリー。 ミステリーの手法は使われているけれど、 あくまでホラーの文脈の範囲内での表現でされていて、 その著者のバランス感覚が絶妙。 これから追いかけていきたい作家さん。2025/01/16
ソラ
7
【読了】D いい意味でホラーっぽくない作品。不条理さ薄くロジカルな感じ。2025/01/04
ろいと
5
★★☆☆☆ 「体験した人が本当に死ぬ怪談」を探す怪談師の三咲と「呪いか祟りで死にたい」カナちゃんの2人が、とある怪談を調査するホラー・ミステリ。怪談が変化し広まっていく現象への解釈が面白く、ミステリ要素もしっかりあってラストは楽しめたが、中盤で少しだれてしまった。ホラー大賞受賞作のわりにそこまで怖くなく読みやすい。2025/01/13
nil
5
リーダビリティが高くするする読めた。『残穢』を彷彿とさせるような、怪談と怪談の繋がりからそのルーツを辿っていく展開にわくわくした。主人公とカナちゃんの関係性やキャラクターもいい。ホラーとしてはもっとゾクゾクさせる描写があっていい気がしたし、終盤のクライマックスにあたる部分は期待していたよりかなりあっさりとしていて物足りなさはあったが、着地は綺麗で大きく落胆することもなく概ね満足。評判がかなりよかった記憶があったので自分の中で期待値を上げすぎた気はする。2024/12/15
アヤ
4
子供の頃に事故で自分だけが生き残った主人公。怪談師となった彼女は、怪談で人は死ぬのか知りたがっているカナちゃんと共に怪談を集めている。ホラーではないし、怪談を論理的に語っていたりして面白い。最後にホンモノが描かれているが謎は謎のまま終わるのはホラーっぽい。2024/12/28