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内容説明
本書で著者はさまざまな社会現象を取り上げる。講演会場の着席パターン。誰と付き合うか、誰と暮らすか、誰と仕事をするか、誰と遊ぶか、などの選択。白人と黒人の分居。高速道路上に落下したマットレスが渋滞を引き起こした例。アイスホッケーの試合で選手が負傷したという記事。等々。全体を構成する「個人」の行動特性とその「全体」の特性の関係性を分析する。
目次
新装版の序文
謝辞
第1章 ミクロ動機とマクロ行動
第2章 椅子取りゲームの数学
第3章 サーモスタット、レモン、クリティカル・マス・モデルなど
第4章 選別と混合――人種と性別
第5章 選別と混合――年齢と所得
第6章 子供たちの遺伝子を選ぶ
第7章 ホッケーのヘルメット、サマータイム――二値選択モデル
第8章 驚くべき60年――ヒロシマの遺産(ノーベル賞受賞講演)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
130
2005年にノーベル経済学賞を受賞した人の論文集です。受賞時の記念講演も収められています。そのために少し読みにくい感はありますがこの人の主張しているミクロレベルの行動が経済のマクロレベルに大きな影響を与えるというのは今の世界にもっとも当てはまるのではないでしょうか?ツイッターやSNSでの情報が早く伝わりそれが大きな影響を当てていくのでしょう。私は少し前に読んだ「ヘリコプターマネー」よりもこちらの方がはるかに説得力がある気がしました。2017/02/25
渡邊利道
5
個人の選択が社会にどう影響を与えるかを分析するゲーム理論の専門家による行動経済学の一般向けの啓蒙書で、わかりやすい話しが多くて大変読みやすく面白い。後半では数学的証明もきちんと出てくるので教科書的にも役立つと思う。共有地や中古車などおなじみに話も割合出てくる。均衡はそれ自体では善ではないとか、まあわりと常識的な話という感じもするが、クリティカル・マスとか加速度原理とかひとつひとつのエピソードの説明が明快で面白いのでやっぱり良い本であると思う。もっとも訳者解説がないのはさすがにちょっと不親切だと思った。2018/01/22
vonnel_g
2
講演会での席の埋まりかたから始まる、「人の行動が様々な活動の全体をどのように動かすか」のお話。最後の方にグラフと数式が多少出てくる以外は概ね読みやすくて面白い。最後のノーベル賞の記念講演がとてもいい。2017/03/18
うれいちゃん
2
そことなく難しい内容。『マクロの結果は個人の考えているようにはならない』というのが本書に一貫しているテーマではあるが肝心の内容が難しい。特に人種と性別の章で扱ったモデルは複雑だと感じる。一方で二値選択モデルやクリティカルマス、椅子取りゲームの数学は興味深い内容で溢れている。2017/02/16
neugierde
2
人は人の行動に影響を受ける。他人がどうするかを見てから自分の行動を決める人が多い。他人がどうだろうと自分はこうする!という人が一定数いないと、世界は動いていかないんだなぁ。日本でイノベーションが生まれにくいってのも、そういうことなんだろうな。2017/02/05
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