内容説明
朝鮮半島の女性たちは、さまざまな困難に直面してきた。韓国併合、戦争協力と犠牲、南北分断による家族の離散、独裁政権、民主化運動、フェミニズム……現代もなお女性たちは激変する社会の中で、日々憤り、悲しみ、喜び、そして戦っている。開国から現代にいたるまで、朝鮮・韓国の女性はどう生き、どう変わっていったのか。有名・無名のさまざまな女性たちに光を当て、近現代韓国の歴史を描きだす。
目次
はじめに
第一章 近代と出会う女性たち――朝鮮の開国
[コラム]フィクションからみる歴史1
ドラマとミュージカルのヒロインとなった明成皇后
戦うヒロイン『ミスター・サンシャイン』のユン・エシン
第二章 「外」へ飛び出す女性たち――1910~30 年代の朝鮮
[コラム]植民地期を切り取る
『ラストプリンセス』と植民地支配
女子学生のホンネ
第三章 朝鮮半島の戦争と女性――動員、協力、被害
[コラム]朝鮮映画のスター文藝峰
第四章 「戦う」女性たち――独裁政権から民主化へ
[コラム]フィクションからみる歴史2
民主化運動を描く『1987 ある闘いの真実』
慰安婦と向き合う『I Can Speak』
第五章 「アジア」を移動する女性たち
[コラム]『ちょっと北朝鮮まで行ってくるけん』と日本人妻たち
第六章 「キム・ジヨン」たちの韓国
[コラム]南北を超えた恋愛ドラマ『愛の不時着』
おわりに
あとがき
参考文献
索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
二人娘の父
8
韓国の近現代史を論じた類書は少なくないが、「女性たち」を主語に、徹底して女性から見た歴史の見直しに挑んでいる本書。その試みは貴重だし、改めて学ぶことが多かった。著者はドラマ「虎に翼」監修者でもある。まさに「ヒャンちゃん」を彷彿とさせる女性たちが実際に存在していることに、大いなる感動を覚える。僭越ではあるが、先日読んだ「韓国、男子: その困難さの感情史」(みすず書房)を併せて読むと、より立体的、構造的に韓国近現代史の理解がすすむという感じがする。2025/01/12
🌙
0
この本の出版から約1か月後、韓国の大統領が戒厳令を宣言した。 連日、十数万人もの市民が集まる事態が起こることを、そして実際に市民の手が権力の暴走を止めることを、出版当時だれも予想していなかっただろう。 かつて「誰か」が引き受けた暴力が、また別の「誰か」やずっと後の「誰か」に向かう暴力を引き止めた。 歴史の中で透明化されてきた女性について学びながら、日本における加害の歴史、そして韓国における抵抗の歴史についても知ることができた。 2025/01/11
サトー
0
わりとよかった2025/01/07
ミネチュ
0
この本は「女性たちの」とついていますが、良くも悪くも「女性」だけに焦点が当たっているわけではなく、韓国近現代史をおさらいできます。 全体として大変興味深く読みました。 ただ、現代史では韓国の進歩派視点で書かれていて、納得のいかない部分が多かったです。 特に朴槿恵に関する記述はちょっと…2024/12/31
ファルコファン
0
虎に翼の時代考証をした崔誠姫/チェ,ソンヒさんの本。朝鮮半島の近現代史を女性、ジェンダーの視点から書いている。とても分かりやすく、150年前から最近までを叙述している。コラムで『愛の不時着』など韓国の映画やドラマを同じ視点で紹介している。今後基本的な入門書になるかもしれない。1920年代「新女性」の登場で『三人の女』の歴史的な背景が分かった。2024/12/10