創元SF文庫<br> 感応グラン=ギニョル

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創元SF文庫
感応グラン=ギニョル

  • 著者名:空木春宵【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 東京創元社(2024/12発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488799014

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内容説明

昭和初期、浅草六区の片隅に建つ芝居小屋。ここでは夜ごと、少女たちによる残酷劇が演じられていた。俳優たちは座長の方針で、ある特殊な条件のもと集められ、共同生活を送っている。ある日、容姿端麗で美しい声を持つ新人が現れた。本来ここには「完璧な少女」は存在してはいけないはずなのに、なぜ? 彼女の秘密が明らかになるとき、〈復讐〉が始まる――。分かち合えない痛みと傷を抱えて生きる孤独な魂を描いた全五編。退廃と奇想、呪縛と変容。唯一無二の世界を築き上げる創元SF短編賞出身の鬼才、空木春宵のデビュー作がついに文庫化!/【目次】感応グラン=ギニョル/地獄を縫い取る/メタモルフォシスの龍/徒花物語/Rampo Sicks/解説=橋本輝幸

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Shun

27
著者単独の作品を読むのは初。幻想怪奇の独創的な世界を描く空木春宵の5作品を収録。表題作は昭和の日本を舞台に、ある個性的な芝居小屋で夜な夜な演じられる怖ろしくも官能的な見世物を主題とした怪奇小説。その他に近未来でAIを利用し犯罪抑制という名目で作られた人格を相手に、人間の仄暗い欲望が浮き彫りになる「地獄を縫い取る」という作品では、地獄大夫をテーマとしたフィクションや谷崎の「刺青」といったモチーフを取り込み独特なSF作品が出来上がっている。残酷や頽廃といった感性が持ち味の作品集で怖いもの見たさに読みたくなる。2025/01/09

塩崎ツトム

22
原始、女性は「ヒト」であった。今、女性は「モノ」である。そんな書き出しで始まりそうな物語が並ぶ。変身物語の中、男――男神は動物に変身した生娘を拐す、あるいは人外の存在が動物に変身するが、女性の変身は呪いのようなものである。世界はなぜ女性を呪い続けるのか?今でも呪いをかけられた女性のうめきが世界に満ちている。それは祈りで救済できるのか?2025/03/07

TSUBASA

18
昭和初期の浅草六区、体の一部が欠損した少女たちの劇団に心が欠損した「無花果」という新入りが入る。テレパスが使える彼女は皆に可愛がられるが、その能力が行き着く果ては。表題作他全5編の、耽美と残酷と和風浪漫に彩られたSF短編集。表題作が一番読みやすかったかな。美というのは完全なものから少しだけ欠落のあるもの。そこに生まれる憎悪や嫉妬が淫靡な世界を作るのだ。独特の文体が読みづらかったけど江戸川乱歩のオマージュがちりばめられつつ、美醜の哲学が詰められた『Rampo Sick』も良い。皓蜥蜴姐さんかっこいい。2025/07/14

うさみP

8
『美しいは醜い?醜いは美しい?うるさい!うるさい!!私を見ろ!!』と蒸気の中心で少女たちは怒る。とんでもない本を今まで積んでいたな。私の傷、私の喪失、私の美醜、私の地獄。私の『痛み』は私だけのもの。何人たりとも犯すはできない。仮名と漢字の雨が織りなす重厚で、痛覚と痛覚が擦れ合う世界観に心身共にびしょ濡れ。ゾンサガ好きとしては百合ゾンビィ終末の『徒花物語』がベストでオススメ(温度差で風邪ひく)2025/07/21

gawa

7
表題作から幻想的な文章で作られた世界観にぐっと引き込まれた。美しくも残酷な少女たちの関係性に、時代を超えた力強い生を感じる。近い将来に起こりそうなバーチャルな官能をめぐる「地獄を縫い取る」がお気に入り。ただ、似たような趣向、主題、構成の作品が繰り返され、本書を通して読むとややお腹いっぱい感はある。先行作品を意識させる設定の作品も多く、解説が次なる読書の入り口にもなった。「Rampo Sicks」は、テッド・チャンの「顔の美醜について」や、アニメ「PSYCHO-PASS」を連想。2025/03/18

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