万人のための哲学入門:この死を謳歌する

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万人のための哲学入門:この死を謳歌する

  • 著者名:佐々木中
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 草思社(2024/11発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794227584

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内容説明

『切りとれ、あの祈る手を』の著者、
待望の書き下ろし作品!

本当に読みたかった哲学入門、誕生。
最初で、最後で、最短の一冊。

「みんな」の欲望と、あなたの欲望。「みんな」の不安と、あなたの不安。
そこから、哲学は「普遍」へとあなたを導きます。
あなたを超えたものへ。

【「序」より】
 ――そもそも、私にはあなたが誰なのかも全く知ることができない。
 一応、この本は「哲学入門」と題されているわけですから、何かしら哲学ということに興味がおありなのかなとは思います。しかし――、「哲学」という日本語はフィロソフィ(philosophy)を西周が翻訳したものであって、当初は「希哲学」と訳されていたとか、そもそも哲学とは「知を愛する」ことであってその動詞の用法はヘロドトスの『歴史』に出てくる小アジアのリュディアの首都サルディスを訪問したギリシャの賢人ソロンに対して国王クロイソスが述べた言葉が初出であるとされているとか、形容詞の用法はそれより古くヘラクレイトスが述べているとか、あなたはそういうことが聞きたいのではないのではないか。
 哲学入門を書くことになり、私も「哲学入門」と題する本を何十冊か読んでみました。すると、それらが大体二つのパターンに収まることがわかった。つまり、一つは「コンパクトな哲学史」とでも呼ぶべきもので、もう一つは「問題集」と呼ぶべきものです。
「コンパクトな哲学史」の方は、その名の通り圧縮された哲学の歴史の叙述です。古典ギリシャ時代から始まりカントからヘーゲル、ハイデガーへと哲学が経巡って来た歴史を短く辿り直して見せるものである。これはいわゆる大陸哲学系の著者に多いようです。
 もう一つの「問題集」の方は、「心身問題」や、「自由意志の問題」、「神の論証の問題」などの伝統的な哲学的問題を列挙し、著者が自分なりの回答を与えて見せるものです。これはいわゆる英米哲学系の著者に多く見られます。
 もちろん、そうした本を読んで勉強にならないわけではないでしょう。しかし、繰り返します。あなたはそういうことが聞きたいのではないのではないか。――この本は、そんなあなたのために書かれた本です。
 とはいえ、繰り返します。私はあなたのことを何も知らない。ですが、一つあなたのことを当てて見せましょう。どんなにあなたが隠そうとしても、あなたのことを一つだけ確実に当てられる。そのことを私は知っています。

 それは、あなたが死ぬということです。
 さて、私たちの哲学入門は、ここから始まります。

【目次】
生まれてくることを選べない
「とりあえず」と「たまたま」
哲学とは死を学ぶこと
複製の生、劣化コピーの欲望
「自分自身の死」
「死の搾取」
死と宗教
不確実な私の死
葬礼、文化の起源
儀礼の問題
「根拠律」と儀礼
「救済」と「記憶」の問題

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

coldsurgeon

13
哲学とは死を学ぶこととされる。死とはつねに「他人の死」であり、そこで死ぬのは不特定の「ひと」である。我々が体験するのはつねに「他人の死」。生きて死ぬという自分の生に意味があるかどうかは問題ではない。意味は私に与えらるものではない。むしろ私が意味を与える側である、と。人生は「とりあえず」と「たまたま」で出来ている。どう謳歌するのかが問題なのだろう。2025/01/15

双海(ふたみ)

12
私たちは自分が生まれて来るかどうかを選ぶことは出来ない。哲学とは死を学ぶこと。「私はあなたのことを何も知らない。ですが、一つあなたのことを当てて見せましょう。どんなにあなたが隠そうとしても、あなたのことを一つだけ確実に当てられる。そのことを私は知っています。それは、あなたが死ぬということです。さて、私たちの哲学入門は、ここから始まります。」2025/04/13

Olive

12
死を見つめることで生を価値あるものにできる。 気がついたらこの世に生み落とされ、生き、そして死ななければならない。宗教は死後を価値づけることで、また国家は死後を祭祀というかたちで意味づけすることで、残された生きている人は死を意味づけして(されて)きた。 行き当たりばったりの人生、どの角を曲がったかで変ってくるものに意味を与えるのは「今・ここ」にいる自分しかいない。 チェーホフの作品にニーチェの永劫回帰が見え隠れしていると常々感じていたので、同感するところはあった。2025/03/02

rors(セナ)

11
跋を読み終わってすぐにもう一度読み返した。「自分自身にのみ固有であって、なお万人に共通する体験」死について。記憶と救済はなるほどなぁとなった。2025/01/15

門哉 彗遙

8
「死」を考えることから哲学が始まる。 しかし「死」は常に他人のものであって、自分の「死」は自分で確認することができないから、「死」することはできない。 だれかに強制されてこの世に生を受け、そして「死」を待つだけ。その生も死もやがて誰の記憶にも残ることなく、無意味に消え果てるのを怠惰に見守るだけ。 ってことらしい。 フン。2024/11/29

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