内容説明
本州の最西端に位置し、南の関門海峡を挟んで九州と相対し、西には周防灘(瀬戸内海)、東には響灘(日本海)の三方を海に囲まれ、朝鮮半島・中国大陸に近い「下関市」を研究対象に、この地理的特性ゆえに形成されてきた固有の都市的世界―その生活世界―に着目し、「交流・連携」「在日コリアン」「まちづくり」の3つの分析視点から社会学的実証研究を試みる。
下関市が将来にわたって「持続可能な都市」となるための方途・活路を解明する。
目次
序 章 研究対象としての「海峡都市・下関」―現況と研究課題―
1 「海峡都市・下関」の現況 / 2 研究課題と本書の構成
第1章 海峡がひらく「交流拠点」としての下関―歴史から読み解く―
1 分析の視点―ヒト・モノ・文化の結節点からみる―
/ 2 古代から中世における「下関」:海陸交通の要衝地として
/ 3 近世における「下関」:西回り航路(北前船)の中継交易地として
/ 4 明治から終戦までの「下関」―大陸への玄関口の近代国際都市として―
/ 5 終戦から現代における「下関」―国際文化交流都市として
第2章 韓国との交流拠点としての「下関」―その歴史―
1 下関と朝鮮人 / 2 下関と「李ライン」 / 3 日韓親善団体と民間の交流 / 4 下関港と経済交流
/ 5 おわりに―経済交流と人的交流の増大
第3章 下関市と「北九州市」―関門海峡都市生活圏の歴史と現在―
1 関門海峡都市生活圏の歴史と現在 / 2 「関門連携」の時代へ / 3 東アジア諸都市との連携と今後
第4章 「下関市」と韓国・釜山市・九州圏・山口県の都市間連携
1 下関市と釜山市における都市間連携
/ 2 「 日韓海峡沿岸県市道交流知事会議」(Japan-Korea Strait Governor Meeting) / 3 おわりに
第5章 現代に蘇る朝鮮通信使と「下関」
1 江戸時代の朝鮮通信使と「下関」 / 2 ユネスコ「世界記憶遺産」登録までの道程
/ 3 下関市における「朝鮮通信使」 / 4 釜山市における「朝鮮通信使事業」の展開と今後
第6章 下関市における在日コリアンの生活世界
1 韓国朝鮮人人口の減少と「トンネ」の形成 / 2 下関市における在日コリアンの生活世界
/ 3 グリーンモール商店街と「リトル釜山フェスタ」 / 4 おわりに
第7章 コミュニティ再編とまちづくり協議会
1 はじめに / 2 1市4町合併とコミュニティ再編 / 3 まちづくり協議会政策の展開
/ 4 まちづくり協議会活動の事例研究 / 5 おわりに
終 章 「海峡都市・下関」の持続可能性