内容説明
欧米や日本の先行学説の研究と自らの理論社会学によって、
戦前から戦後にわたり、日本の社会学をリードした新明正道。
その「新明の社会学」について、自伝・理論・時代・社会調査の4つの面から迫り、紹介していく。
第1部の「自伝」では、新明の自叙伝を元に、経歴や時代をはじめ、そして社会学者の道を歩む経緯から、
東北大学へ移り、ドイツ留学へ…等、エピソードを交えつつ、紹介する。
第2部の「理論」では、新明の社会学理論の主著である、『社会学の基礎問題』、『社会本質論』、
『知識社会学の諸相』にそれぞれ焦点をあて、新明から教えを受けた著者が解説をしていく。
第3部の「時代」では、戦時中から戦後にかけての留学帰国後の新明の状況を、
新明自身のまとめた論文集『政治の理論』、ならびに著書『国民性の改造』の内容を読み直しながら、辿っていく。
第4部では、今日、多くの社会学者が重要な研究手法として採用する「社会調査」について、
新明が著作を残していないことに注目。新明と東北大学の当時の社会調査について見ていく。
目次
はじめに
Ⅰ 自伝
第一章 学生時代から社会学への転向まで
青年時代 / 新人会 / 関西学院に就職、社会学の講義担当 / 社会学への転向
/ 高田保馬博士 / 形式社会学の興隆
第二章 杜の都への転出とドイツ留学
東北大学に転出 / 家宅捜策 / 「杜の学都へ」 / 大正時代
/ 共産党員の大量検挙、大学へも文部省権力の干渉 / ドイツ 留学/フィーアカントの指導
/ ナチズムの進出 / マンハイムとコルシュ / 形式社会学への不満 / 唯物史観への関心
Ⅱ 理論
第三章 『社会学の基礎問題』
新明正道の主著 / 社会学の根本的立場 / 「綜合社会学」の提唱 / 一般社会学と歴史社会学
/ 社会認識と自然認識 / 意味理解と社会調査 / 行為関連の立場 / 国家と人類社会
/ 社会の歴史性、時代 / 社会の「進歩」の標識 / 現在の価値
/ 形式社会学批判、綜合認識こそ社会学の課題 / 「基礎問題」と「本質論」
第四章 『社会本質論』
出発点としての行為の概念と理論的課題 / 行為の意味 / 行為の関係性 / 団体的集団
/ 基礎団体と派生団体 / 派生団体 / 綜合団体 / 民族と国家 / 膨大な引用文献
第五章 『知識社会学の諸相』
帰国直後の著作 / 知識社会学とマルクス主義の影響 / 「歴史主義」から「相関主義」へ
/ マンハイムのイデオロギー論 / 「部分的イデオロギー」と「全体的イデオロギー」
/ 「特殊的イデオロギー」と「普遍的イデオロギー」
/ 「価値自由的及び評価的イデオロギー」 / マンハイムの知識社会学の「図式」
/ 知識の存在的起源/歴史社会学との関連
/ マンハイムに対する批判/新明社会学とマンハイム
Ⅲ 時代
第六章 『政治の理論』
戦時期の新明 / 国民再組織 / 各国の事例?ロシア、伊独
/ 自由主義経済の欠陥の克服?英米仏も / 日本の行くべき道 / 「支那」新政権の誕生
/ 日本経済の混乱 / ふたたび歴史に立ち戻って / ナチズムとファッシズム、日本の場合
/ 大政翼賛会 / 高度国防国家の建設 / 利益第一主義を排する / 東亜連盟論
/ 共産主義の転落 / 「ファシズムの主唱者」という評価 / 日本の知識人の対応
第七章 戦後の新明正道
東北大学を去る / 弟子たちの嘆願書 / 東北社会学研究会と『社会学研究』誌の刊行
/ 新明の東北大学復帰、東北社会学会設立
第八章 『国民性の改造』
新明の見た戦後日本社会の『改造』 / 日本における民主主義 / 国民性改造の必要性
/ 基礎は国家でなく民族的特性 / 民主主義の原理の実現こそ
Ⅳ 社会調査
第九章 東北大学における社会調査の始まり
「基礎問題」や「本質論」の時代 / 新明の公職追放中、社会調査の始まり / 町村合併の調査
/ 調査員としての参加 / 釜石調査 / 新明正道の停年退官
終わりによせて



