内容説明
日本統治下の台湾に生まれ、戦後は日本に渡って台湾独立運動に奔走する夫を支えつつ、自らも経営者として活躍した女性を描く歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
52
限りなくノンフィクションに近いフィクション。隣国の歴史を学んでこなかった私にとって、この物語はとても勉強になりました。上辺だけで語るものの都合によって変わる歴史観よりも、確固たるモデルがあっての物語の方が信憑性を強く感じます。抵抗なく、この物語を受け入れることができるのは、著者によるものが大きいのだけれど、翻訳による面も同じように大きい。2024/12/11
本の蟲
16
在日台湾婦女会の初代会長、郭孫雪娥の生涯をモデルに、フィクションも交えた近現代台湾100年史の時代小説。台湾ならではの価値観や風習と、日本の統治政策で起こった変化。日本籍児童と共に通った小学校から、高雄高等女学校への進学。戦争の影響と三井物産高雄支店への就職。戦後台湾での国民党による独裁政治と弾圧。日本への脱出と実業家としての躍進。台湾民主化運動への貢献。様々な人間模様と生活、時代の変化を描きながら、批判や賛同を表に出さない日記のような淡々とした語りが印象的。まだまだ知らない台湾への興味が増した一冊2024/12/01
ori
14
実在の人物がモデルだからか孫愛雪のスーパーレディさが淡々と語られていく感じだった。日本統治下→戦後→現代の台湾なら激動の政治・社会背景だろうがそこもあっさりで物足りない。父親が香港に逃げたのも彼女が日本に来たことも淡々としてる。特に日本人寄りの生活をしていた彼女達は戦後かなり緊張を伴なっていたのでは?と思うけどあまりよく分からず。女性に能力を求められない時代と社会で次々と様々なことをやってのける彼女は実際素晴らしいのだが、それも夫に仕えるため、良妻賢母であるためと本人が言い切ってるの、日本の影響大きすぎ。2024/12/31
鹿ノ子
9
日本が台湾を統治していたことは知ってはいましたが、50年もの期間だとは思っていませんでした。それから第二次大戦を経て戦後の台湾が、今のような民主主義国家になるのにどのような紆余曲折があったのかもあまり考えたことがありませんでした。本作はフィクションとはいえモデルになった女性が存在し、その荒波の時代を強く逞しくかつ聡明さを発揮して生きてこられたことに感動しました。2025/03/04
ルッコラ
4
日本統治下の高雄で青春時代を送った台湾女性の半生記。当時の台湾の日常生活が女性視線で描かれている。主人公はセーラー服をきて高等女学校に通い、卒業後は三井物産に就職。高雄は日本と台湾の文化が混然とした活気ある港町で、主人公は日本人と親しく交流していた。日本が敗戦し、国民党政府による弾圧がはじまると家庭状況が一変。父と夫が政治的理由で台湾から逃走するが、彼女は逆境に屈せず実業家として成功する。国民党政権下の高雄の描写が浅いことと、主人公が朝ドラのように才色兼備のヒロインに描かれている点が少し気になった。2025/03/28
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