内容説明
能とは、こんなに面白いものだったのか! 精選十曲の詞章+現代語訳+英訳+解説で650年の古典の神髄を味わい尽す。柴田元幸氏との鼎談「謡を英語にする醍醐味」、酒井雄二氏(ゴスペラーズ)との対談「世阿弥に学び、「芸人実感」で謡を考える」も収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
107
「能は読むのが面白い」。著者二人は能を文学として読む魅力を語り、現代語訳と英訳を収めている。確かにいきなり観劇は敷居が高いが、読みからならばと思い手に取ってみた。webにも既訳はあるが著者たちの思いを感じたかった。いずれの曲も読み易く、かつ主題を捉える文学的愉しさを味わえた。英訳では副題が付けられ、そこに内容が凝縮されている。例えば羽衣はLonging for Trust。巻末に柴田元幸氏を交えた鼎談があり、テキストのリズムを大切にする、テキストに寄り添う、そこを起点に能の面白さに気付くのもありと思えた。2025/01/04
マカロニ マカロン
17
個人の感想です:B+。10の謡曲をいとうせいこうさんが現代語訳、掛詞の部分は分解して韻の部分をラップ型にくり返すので、原文の2~3倍に増殖しているが、その分理解はしやすい。本書には『高砂』、『忠度』、『井筒』、『羽衣』、『邯鄲』、『藤戸』、『山姥』などの有名どころが収録されている。英語訳したジェイ・ルービンさんが指摘するとおり能の「のろいダンス」で寝落ちする前にしっかりと謡曲本でセリフを把握すべきだろう。謡曲を声を出して読み、一人ワキ・シテを演じてみると、まあ気持の良いこと、「矢も楯もたまらぬじゃ」2025/07/04
Qfwfq
2
副題に「新しい能の読み方」とあるように、能の詞章を、まさに“読む”、という書。室町時代に成立した古典をいかに現代日本人に読ませるか。この難題に挑んだのが、ジャンルを問わず多方面で活躍するいとうせいこう氏。その才のひとつ、ラッパーとしての活動ほど世阿弥が持つ音楽性を今に甦らせるに相応しい者はそうはいまい。そして、この現代語訳を英訳したジェイ・ルービン氏にしても、ミュージシャンを諦めて翻訳家になったという御仁。彼の英訳も愉しいに違いない(たぶん)。いとう氏による「訳し返し」も是非とも読んでみたいものだ。 2025/02/24
k_
0
能の歌部分「謡」を、現代日本語訳→英訳したもの。そうか、謡を文学として読むという方法があるのか!読むべきものがいっぱいできて嬉しい。翻訳部分以外のところが(も?)読み応えがあって、おすすめです!2025/08/14
futomi
0
原文と現代語訳、英訳による十作品。この中で触れたことがあるのは高砂と井筒だけだった。 藤戸がよかった。海人のファンタジー。山姥の詞章が好き。これらは後ろのに収められている三作品で、読み慣れてきたからということかもしれません。 袋とじで2倍の用紙が使われていて、昔の(父が持っていたような)謡本と似たような作り。 図書館本だけれど、購入してじっくり読もうかな。お高いですが。 義太夫も謡曲も習いに行ける裕福さが羨ましい。 経済格差と地域格差です。2025/08/07