入門 シュンペーター - 資本主義の未来を予見した天才

個数:1
紙書籍版価格
¥1,540
  • 電子書籍
  • Reader

入門 シュンペーター - 資本主義の未来を予見した天才

  • 著者名:中野剛志
  • 価格 ¥1,300(本体¥1,182)
  • PHP研究所(2024/11発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569856186

ファイル: /

内容説明

(『入門 シュンペーター』「はじめに――シュンペーターのここがスゴい!」より抜粋、一部改変)「創造的破壊」という言葉を聞いたことはありませんか。「創造的破壊」というのは、例えばスマホがガラケーを駆逐したように、新しい製品や組織が生まれて旧い製品や組織を打ち負かすという、イノベーションの姿を表したものです。この言葉を広めたのは、ジョセフ・アロイス・シュンペーターです(「ヨーゼフ・アロイス・シュムペーター」とも表記されますが、本書では、英語読みにならって「ジョセフ・アロイス・シュンペーター」と表記します)。シュンペーターは、今日もなお、イノベーションの理論家として、大変人気の高い経済学者です。もっとも、シュンペーターの著作は、およそ80年から100年も前に書かれたものです。「そんな昔の経済学者によるイノベーションの理論を学んでも、現代の世界では役に立つはずもない」と思われるかもしれません。しかしそれは、全く違います。例えば、社会学者のフレッド・ブロックは、2017年の論文‘Secular stagnation and creative destruction:Reading Robert Gordon through a Schumpeterian lens’の冒頭で、次のように書いています。「七十五年後に、シュンペーターの『資本主義・社会主義・民主主義』に立ち戻ること は、骨董いじりなどではまったくない。その反対に、現代の我々が置かれた政治経済状況を理解しようとする者にとっては、決定的に重要なことである」ちなみにこのブロックという人は、2013年に、『ニュー・リパブリック』誌の「イノベーションに関する最も重要な三人の思想家」にも選ばれた研究者です。シュンペーターの古典的著作は、現代のイノベーション研究の最先端を走る研究者たちに、今もなおインスピレーションを与え続けているのです。そこで本書は、このシュンペーターの主な著作について、初心者でも分かるように平易に解説します。ただし、シュンペーターの著作の解説だけではなく、シュンペーターの影響を受けた現代の理論についても紹介していきます。そうすることで、シュンペーターの理論が、今日の資本主義の本質を理解する上でも極めて有効だということを明らかにします。そして、日本経済が長い停滞に陥り、日本企業がイノベーションを起こせなくなった理由についても、はっきりすることでしょう。その理由は「シュンペーターの理論とは正反対のことをやり続けたから」です。これに尽きます。ですから、今こそシュンペーターを学ぶ必要があるのです。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

読特

44
米国も新規の開業率は低減傾向。すぐに儲からなければ生き残れない。起業は平凡な業種で起すもの。イノベーションなど担えない。その役割は現存の大企業が行うものだが、株主資本主義が進み、資金が投資家に流れる。短期的視野の快楽主義が投資を阻み、大企業もその役割を果たせない。革新的なiPhoneが生まれたのも、政府の支援があってこそ。公共の役割が民間よりも大きい。資本主義は成功するから社会主義になる。それは自然な流れで思想ではない。…日本の失われた30年は、20世紀前半のこの偉大な経済学者の理論の正反対を行った結果。2025/02/01

さきん

30
著者の本はいつも楽しみにしている。シュムペーターは、イノベーションが経済発展の動力になると分析しており、その部分ばかりが強調されるが、イノベーションが起きる条件として、主流経済学の市場均衡理論ではなく、循環経済理論を基底に論ずるべきとし、政府の産業への積極的な投資を必要とする。なぜならば、政府に比べて企業は利益を考えないといけないし、その期間も短いから。また資本主義は究極には成功の後崩壊し、イノベーションが少なく成れば、社会主義他違う仕組みが補完するようになる。2025/01/14

ta_chanko

26
イノベーションを起こせるのは大企業や国家。アメリカでも軍や国家プロジェクトに莫大な資金を投資して、イノベーションの契機をつくってきた。それに対して日本では、景気が良くないのに増税をし、緊縮財政をとり、財政健全化を目指して、ひたすら民間から資金を没収してイノベーションの芽を摘んできた。これが「失われた30年」の実態。主流派経済学の大きな間違い。シュンペーターによれば、資本主義はやがて社会主義(大きな政府)に向かうと予想。これに抗うのが新自由主義や株主資本主義。日本もアメリカも、世界経済にとっても試練のとき。2025/01/25

belalugosi6997

23
尊敬する評論家。Sの経済観はIは如何なる条件下で起こるのかを定義付けている。しかし、悪意の解釈する輩がいる。それがMEであり、G。典型例が「創造的破壊」いわゆる「経済根性論」だ。こんなことをやっていてもI等は起こらず、寧ろ衰退するだけである。Sの経済理論を忠実に行った国がある。日本だ、但し明治維新から昭和期の正に黄金期である。真逆の政策をして衰退した国が今の日本である。ME派は政府の介入を嫌うが、最もIに適した長期的に支援ができ、リスクを負えるのは政府に他ならない。最終章の「E」お見事だった。ベスト著書2025/01/19

まゆまゆ

12
バブル崩壊後の失われた30年、日本企業がイノベーションを起こせなかったのはシュンペーターの理論とは正反対のことをやり続けたからである、としてシュンペーターの経済論を紹介していく内容。資本主義の発展によって合理主義が広がり、快楽主義的な人間が増えた結果、イノベーションが起こらない環境が生まれた。政府支出を増やさないことがデフレ圧力を強め、株主価値最大化のイデオロギーの台頭によってスタートアップ企業が生まれない。このままではやがて社会主義的な経済に移っていく……2025/06/02

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22311934
  • ご注意事項

最近チェックした商品