内容説明
本屋大賞4年連続ノミネート! 今最注目の著者が踏み出す、新たなる一歩とは――。幸福度最高値の傑作小説! 〈STORY〉ある3月の週末、SNS上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。どうやら「王子」と名乗る謎の青年が銀座の街をさまよい歩き、「僕の人魚が、いなくなってしまって……逃げたんだ。この場所に」と語っているらしい。彼の不可解な言動に、人々はだんだん興味を持ち始め――。そしてその「人魚騒動」の裏では、5人の男女が「人生の節目」を迎えていた。12歳年上の女性と交際中の元タレントの会社員、娘と買い物中の主婦、絵の蒐集にのめり込みすぎるあまり妻に離婚されたコレクター、文学賞の選考結果を待つ作家、高級クラブでママとして働くホステス。銀座を訪れた5人を待ち受ける意外な運命とは。そして「王子」は人魚と再会できるのか。そもそも人魚はいるのか、いないのか……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
831
アンデルセンの「人魚姫」をモチーフに、5つの連作短篇で織りなす物語。それぞれの短篇は一応は独立しつつも、互いに連続性を保ち、最後は円環を結ぶという構成。物語はすべて銀座の歩行者天国を舞台に繰り広げられる。それは、いわば日常に潜む非日常の空間である。そして、物語を繋ぐトリックスターの働きをするのが「王子」である。逃げた人魚は紗奈であったのか、それとも理世であったのか。最初は、読者に迎合的であるという意味において、もうほとんどポピュリズム小説とでも言うべきかと思ったが、先に進むにつれてよくなっていくようだ。⇒2025/05/29
starbro
683
青山 美智子は、新作中心に読んでいる作家です。 本書は、銀座人魚姫&王子ファンタジーの佳作でした。 私は、仕事&プライベートで頻繁に銀座を訪れますが、街並みの描写にリアル感がありました。 個人的にマーメイドドレスやスカートが好きです(笑) https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-85794-7 2024/12/08
しんごろ
633
行ったり来たりすれ違い、ボタンの掛け違いはあるものさ。それが人生というもの。今、眼の前に見えてる世界は嘘か真か夢なのか。きっと真なのだ。人生はノンストップ。立ち止まれない。人魚が逃げて王子が探す銀座の街で、節目を迎えた五人の男女の人生が交差する。逃げたらダメだ。逃がしてもダメだ。しっかり今を受け止めて、それぞれ自分の思う道を進むんだ。道標の青山美智子。美智子の“みち”だけにね。今作は、違った感じでつなぎにつないで気づきを与えて導かせる。物足りなさは感じるが、青山美智子作品の新しい世界を垣間見た。2025/01/18
bunmei
559
アンデルセン童話『人魚姫』をモチーフに綴られた青山ワールド全開の連作。「僕の人魚が逃げてしまった」とお伽噺の王子の出で立ちで、銀座を彷徨い歩く謎の男・自称王子。その王子の不可解な言動の中で、各々に人生の転機を迎えた5人の男女が新たな一歩を踏み出そうとする『青山作品に外れ無し』の優しさに包まれる一冊。悲観的な思いに追い込まれた時、相手の考えを勝手に思い込んだり、決めつけたりしては、広い視野は開けてこない。だからこそ自分の不安を伝え、互いに分り合おうと向き合う事が大切となる、というメッセージも伝わって来る。 2025/01/14
ムーミン
521
ん?いつもの青山作品とは何か違う?と思いながら読んでいましたが、いやいや終盤の展開、やっぱり青山ワールドに引き込まれてしまいました。2025/04/18
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