内容説明
外交官である父に伴われて、メキシコ、スペイン、ブラジルと大正期のほとんどを海外で過ごし、ベル・エポックの香気に触れた“雅び”の詩人・堀口大學。アポリネール、コクトーら、20世紀“新精神(エスプリ・ヌーヴォー)”詩人たちの息吹きを満載した訳詩集『月下の一群』は、洗練された機智と豊潤なエロスを薫風にのせて、わが国の湿潤な文学風土に送り込んだ。詩の子、恋の子、旅する子の面目躍如たる第一随想集。
目次
序
自画像
日記
唇を噛む
バナナ
初恋以前の恋
最初の記憶
小さな自叙伝
小鳥
初飛行
南米と西班牙
ブラジルの女
南米記
アマゾン紀行の序
西班牙気質
西班牙の夜
西班牙女
西班牙だより
季節の構図
初の秋風
冬の田園
おそ夏はや秋
秋の食欲
雑記帳から
海の仏蘭西近代詩
雀・いかる・川烏
巴里の橋の下
花のことなど
花氷
エスキモオ
夜の歩道
海水浴場
驪人漫語
望翠楼雑記
女人群像
ディトリッヒ
ノオマ・タルマッジ私見
妖花アラウネ
『メトロポリス』その他
キュビズムの女神
或る日のマリイ・ロオラ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
15
著者については、詩人で翻訳家だったな程度の知識しか持ち合わせていなかった。読み始めるとその感性のしなやかさにたちまち引き込まれた。秋の空気の描写が特に素晴らしく、海外生活の中においても、この方は誰よりも日本人だったのだなと思わせられる。詩集も今度読んでみたくなった。2012/10/09
うた
9
梢を行き来しながらさえずる小鳥のように軽やかな大學の文体が気に入ってしまった。季節の話題一つでも、詩心を織り交ぜる豊かに語り、読者を楽しませてくれる。あとこの小さな随筆集に2度も長めに書くほど、小鳥道楽にハマった人だったのね笑。冬のイカルの鳴き声は確かに聞き入ってしまう。『月下の一群』も美しいものだが、他にもこういう随筆を出していないものだろうか。大學は読み返されるに値すると思う。2023/03/05
月
7
★★★★☆(堀口大學、詩人・歌人・フランス文学者・翻訳家。河盛好蔵の「作家の友情」の中の佐藤春夫と大學の関係が印象深かった為、大學の随筆集を手に取る。今年は丁度、岩波文庫から訳詩集「月下の一群」が再版されている。萩原朔太郎は当時「季節と詩心」を読んで「正直に告白すると、堀口君の或る抒情詩(ヴェニュス生誕など)より、かうした散文の方にずつと藝術的なエロチシズムと、ずつと本質的な詩文学を感受した。(「詩人は散文を書け」より)」と語っている。文体を四季で表現するならば春か初夏のような不思議な暖かさを感じる。) 2013/08/17
とろこ
4
言葉の選び方が、その美しさが、芸術としか思えない。 もっとこの人の言葉にふれたい。 2012/12/11
NагΑ Насy
2
「キュビズムの女神」という随筆で大學がローランサンの絵にほれ込むを読みて、いつか自分のローランサンの絵をはじめて見たときの心の揺れ動きが甦る。2009/01/06
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