ちくまプリマー新書<br> はじめての戦争と平和

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ちくまプリマー新書
はじめての戦争と平和

  • 著者名:鶴岡路人【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2024/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480685087

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内容説明

話し合いができれば戦争は起きないはずだ。軍隊がなければ平和になる。……本当にそうでしょうか?「(…)人類はひとつだ、皆がちゃんと話し合えば分かり合えるはずで、そうすれば戦争など起きない、という考え方もあります。「話せば分かる」という発想ですね。これが広まれば世界が平和になりそうなものです。そう信じたい、願いたい気持ちもよく分かります。しかし、残念ながら現実にはなかなかそうなりません。」(まえがきより)そもそも安全保障とは、リスクをゼロにするような理想論ではなく、現実的なリスクを把握、管理し、対処することです。国際関係や防衛の問題のリアルな読みとき方を知ることは、戦争のない世界を目指すための土台となります。

目次

まえがき/第一部 世界をみる三つの視点/第一章 個人を中心に考える/やっぱり人間が重要/プーチンの戦争/ゼレンスキーの戦争/人類の歴史は本当に戦争の歴史なのか/個人としての兵士/市民は平和的か好戦的か/第二章 国家を中心に考える/国際関係は国「際」関係/ロシアの戦争/民主主義とは? /民主主義国家は戦争をしない? /デモクラティック・ピース論/民主主義の拡大? /「自国のことに専念して他国を無視してはならない」の意味/足元をみられる民主主義国家? /第三章 国際システムを中心に考える/国家に行動の自由はない? /政権交代しても変わらない外交/現実路線への転換? /パワー・バランスの重要性/安定をもたらす力の分布? /「現状維持」「現状変更」とは? /「力の真空」が生まれるとき/緩衝地帯ってなに? /第二部 何から何をいかに守るのか/第四章 「何から」守るのか──脅威/安全保障とは? /脅威を考える/「力による現状変更」/国際秩序への挑戦/国際テロの脅威/ハイブリッド戦争とは? /自然の脅威/第五章 「何を」守るのか──国益/国家の防衛/日本が示す国益/領土を守る/経済を守る/経済力と軍事力/経済安全保障の時代/価値を守る/占領されるとはどういうことか/第六章 「いかに」守るのか──軍事力/軍隊は戦争するために存在するのか? /自衛権とは? /軍隊とは? /自衛隊は軍隊か/陸・海・空軍/サイバー軍、宇宙軍へ/武器の貿易は悪いこと? /武器があるから戦争が起きる? /第七章 「誰と」守るのか──同盟/自助と同盟/基本は助けてくれない/権利を義務に/他国を助けるということ/拡大抑止の難しさ/「見捨てられ」と「巻き込まれ」/同盟管理とバードン・シェアリング/第八章 核兵器ってなんだろう/核兵器による危険と平和/さまざまな核兵器/世界は核兵器だらけ? /核兵器はなぜ特別? /核兵器は強者の兵器か/オバマ大統領のプラハ演説/「核兵器なき世界」への長い道のり/「核兵器なき世界」は通常兵器の世界……/核兵器を使わせないために/第三部 より平和な世界をつくる/第九章 国家はどうすれば協力できるのか/外交と軍事はつながっている/協力が困難な「囚人のジレンマ」/「囚人のジレンマ」を乗り越える/国際機関は無力なのか/欧州統合による平和/戦争を「不可能にする」/国際法の目的と効果/第一〇章 戦争はどうすれば抑止できるのか/抑止による戦争の阻止/懲罰的抑止とは? /拒否的抑止とは? /能力と意思、そして伝達/核兵器使用の抑止/大規模すぎる脅しは逆効果/合理性の落とし穴/さまざまな抑止のバランス/サイバー抑止へ? /抑止としての経済制裁? /第一一章 日本の平和と世界の平和/日本「だけ」を守れるのか/どのように世界に関与するか/安全保障面での役割も必要なの? /価値とパワー/日本の舵取り/コラム──戦略とはなにか/さらに学ぶための読書案内/あとがき/索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

65
国際関係と安全保障についての本。大国や小国、権威主義や独裁など様々な国が存在し、「そのすべてが武力による威嚇または使用の禁止という国連憲章の規定を守るわけではない世界」の中での国際システムの捉え方や集団的自衛権の目的と限界、国連や国際法の意義などが分かりやすく語られます。その中で、民主主義など国の信条を守るのも安全保障の重要な柱で、ウクライナのように必要ならそのために戦うこともその延長線上にあるということが、中国の台頭などパワーバランスの変化が急激に進む現在の世界の概略と共に語られ、身が引き締まりました。2025/04/03

venturingbeyond

42
鶴岡先生の手による国際政治学入門書。国際政治学におけるアクター、リアリズムの立場からの国際政治を捉える視座・枠組み、「脅威」・「国益」・「軍事力」・「同盟」・「抑止力」などの基本的概念、平和構築のためにこそ軍事や安全保障の現状を客観的に把握することの重要性など、国際政治に関心を持ち、学びを深めようとする人に、その基礎を平易に叙述した良書。末尾の文献リストも含め、高校生にも薦めたい一冊です。2025/01/16

kan

22
懇切丁寧で誠実な文章でとても分かりやすく、高校生に薦めたい。特に第一部の、個人・国家・国際システムのそれぞれを中心とした考え方は頭の中が整理され、勉強になった。また、ロシアのウクライナ侵攻を例に挙げたり、「囚人のジレンマ」を引き合いにして国際協力や核放棄の難しさを解説しており、理解のチャネルが広がった。巻末のコラムで、分野を超えて稲垣栄洋先生の著書の紹介があるのに加え、さらに学ぶための読書案内もあり、細やかに学びを支援してくれるちくまプリマーにぴったりの良書だと思った。2025/04/29

さとまる

13
図書館本。ウクライナ侵略を例にとりながら戦争の3つの視点(人で見る・国で見る・国際システムで見る)や安全保障の理解(何から・何を・どのように・誰と守るのか)などを平易な言葉で解説している。核兵器に関してはそれだけで単独に章立てされているのだが、相互確証破壊について触れられていないのは今では時代遅れになったのだろうか?抑止のためにはこちら側の意思と能力を明確に相手側に伝えることが大事であり「手の内を見せない」隠蔽は逆効果であるというのは気づかなかった視点なので納得。2025/01/16

バルジ

6
安全保障に興味が出た初学者に自信を持ってオススメできる良書。極めて平易ながら「懲罰的抑止」や「拒否的抑止」など安全保障論特有の専門用語も盛り込みつつ、安全保障の基礎の基礎から学べる。戦後日本の安全保障論議に通底していた自国中心の視座から解き放ち、あくまで「相手」のある安全保障論議を行うための土台となる視座は本書から得られる。しかも嬉しいのは内容が決して単純化されず、一部は踏み込んだ記載をしている点。安全保障の専門家の最大公約数的な「常識」を示したところは本書の最大の魅力でもあろう。2025/03/23

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