ちくまプリマー新書<br> やさしい日本語ってなんだろう

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ちくまプリマー新書
やさしい日本語ってなんだろう

  • 著者名:岩田一成【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2024/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480685001

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内容説明

「やさしい日本語」を知っていますか。在住外国人の増加や多国籍化が進む社会において伝わりやすさを目指した簡単な日本語のこと。身近な言葉も別の立場から見ればむずかしい。コミュニケーションのあり方を考える。

目次

まえがき/第一章 日本語をやさしく調整する能力/日本語は難しいのか? /日本語=日本人語仮説/接触場面で外国人と意思疎通をはかる/外国人との意思疎通/やさしく言い換えるための技術論/通訳や翻訳と同様のスキル──仲介活動/日本語教師というお仕事/「やさしい日本語」は誰のため? /第二章 日本語不通の思い込み、英語必須の思い込み/最初の一歩がうまくいかない/日本語不通の思い込み/在留外国人の日本語能力はどれくらい? /慣れない相手への対応と第三者返答/英語必須の思い込み/英語話者は世界にどれくらいいるのか/とっさの反応が命取り/英語関連産業と英語必須の思い込み/英語ばかりを尊重する学校教育/それでも英語は大事なのだ/コンバージェンスとダイバージェンス/ステレオタイプを越えて/第三章 やさしさの調整はむずかしい/ルー大おお柴しばが顔を出す/タメ口トーク/一文字単位で区切る/子ども扱い/硬い言い回し/尊敬語と謙譲語/言及回避とほのめかし/配慮とわかりやすさはトレードオフ──ポライトネス理論/詳細さとわかりやすさもトレードオフ/質問に対する回答を考える/わかりやすさと相反する心理的な葛藤/メッセージを研ぎ澄ます/失敗から学ぶ/第四章 台湾で外国人になってみた/筆者が外国人になってみた/ドキドキのワクチン接種/情報発信は母語の方がうまくいく/理想はみんなが多言語の使い手になること──複言語主義/お互いに自分の言語を使うコミュニケーション/台湾生活のスタートは……/心理的状況がコミュニケーションに与える影響/ピンチを切り抜けるための道具/その現場の状況から助けてもらう/伝わりやすさに関わる要因──話し言葉の仲介活動/言語表現以外にも調整可能なものがある/第五章 書き言葉をわかりやすくするには/読みにくい公用文をわかりやすくする/公用文の四大疾病/伝わる文章──書き言葉の仲介活動/書き言葉における仲介活動の能力/文章の難易度を数値化する──文名詞密度/内容の質──内容がそもそも難しい/読み手の言語能力/解釈を拒否するとき──関連性理論/社会的・制度的なバックアップ/書き言葉の課題/第六章 日本社会の変容と言語政策/緊急事態のコミュニケーション/第一期(1990年代後半まで):黎れい明めい期き/第二期(2018年まで):自治体主導期/第三期(2019年以降):国の始動/災害場面の日本語/やさしい日本語とプレイン・ジャパニーズ/戦争とコミュニケーション/戦後につながる動き/歴史から学ぶべきこと/第七章 海外でも公用文は読みにくいのだ/公用文はどこの国でも読みにくい/SDGsの成功/アメリカの公務員が使ってしまう難解英語/アメリカの大統領は意識が高い/アメとムチによる公用文改革/ドイツの取り組み/識字率の低さは認識するかどうかが問題だ/社会的・制度的なバックアップの整備にむけて/第八章 病院や学校の「やさしい日本語」/役所だけじゃない広がり/病院の日本語の難しさ/外国人対応のポイント/医師の意識/医療現場への普及活動/学校の「やさしい日本語」/教室内のことば/小6社会の教科書が読みにくい/「学校からのお便り」を考える/忙しい日本人の保護者にも喜ばれた/その他の場面──図書館、警察、消防、インバウンド対応/第九章 道路標識から日本語を考える/ちょっと短めの書き言葉/ひらがなとローマ字/「平和大通り」は「ピースブルバード」か? /長音符号の問題/不愉快サイン/ローマ字と英語の複合/公共サインの根本問題/第十章 まとめ──三つの視点/発信者の仲介活動を考える視点/社会や制度を考える視点/様々な場面ごとに課題を考える視点/来るべき多文化共生社会/あとがき/参考文献&読書案内

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

31
外国人イコール英語の図式に待ったをかける。外国人といっても英語母語話者ばかりでないし、そもそも訪日外国人の日本語力を我々はなめていないか(意外にも外国人にとってはローマ字よりもひらがなの方が読みやすい)。まずは日本語を平易にするという発想を持ってみよう。読み進めるうち、これは対外国人の場合を糸口にコミュニケーションの在り方に一石を投じた本なんだと気付く。面白かった。2025/02/23

ゆみのすけ

21
阪神淡路大震災の際、情報難民となり苦労した外国人たち。彼らに情報を届けるために提唱されたのが「やさしい日本語」の活用。外国人には英語で話せばいいのだろうと日本人は思いがちだが、日本にいる外国人の8割以上はレベルに差はあるが日本語は理解できるとのこと。本書にはやさしい日本語とは何か。語彙、文法面について。やさしい日本語が今は学校のお知らせ、役所の文章、病院の言葉など様々な場面で求められていること。各国の取り組みなども紹介。外国人との共生がこれからさらに進む日本では必要な知識、力であろう。2025/06/08

ホシ

15
「やさしい日本語」は知ってはいましたが、あまり勉強してきませんでした。実は訝しく思えたりモヤモヤしたりする点があって…。とはいえ勉強になる一冊でした。結論。公共性の高い文字・音声言語に関しては推進を加速させるべき。しかし、一般人が普段から《やさしい~》を操れるようにしようとするのはハードルが高すぎ。一般人も《やさしい~》が使えるのが理想ですが、その前に外国人も尊厳ある一人の人間に他ならないと徹底して理解し、率先して行動できる人の育成を目指した世界市民教育の実施がまず先だと思いました。2025/01/11

takka@ゲーム×読書×映画×音楽

14
SNSで「なぜ尖っている言語表現が蔓延っているのか」を考えていて、そのヒントになるかと思い読了。まず、日本語は国籍と使用者が一致している割合が高く、同調性が生まれるということ。どんな表現でも伝わりやすいからこそ、距離感や言い換えを気にしないのかもしれない。そして、「説明の詳しさ×説明のわかりやすさ=一定」であること。ストレートにいえば伝わりやすいし、柔らかい表現をすれば伝わりにくい。またSNSは基本書き言葉なので、発信者に伝え方が委ねられる。「これなら伝わるだろう」が伝わらないという事故が起きやすい。2024/11/20

ドラマチックガス

11
外国の方にとってわかりやすい日本語である「やさしい日本語」。その意義を訴える本。やさしい日本語よりも、途中からは「英語万能」「国際交流といえば取り敢えず英語」という意識への批判にさかれていた。そしてそれはとても重要なこと。オリンピックのときなんかも、なぜか全部英語でやることが前提っぽくなっていたし。パクリ疑惑で没になったエンブレムも、そもそもなんで「T」を使っているのか、アルファベット使う国ばかりじゃないぞ、という思いがあった。やさしい日本語が日本人同士でも飛び交う社会、いいですね。2024/12/23

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