マイナーな感情 - アジア系アメリカ人のアイデンティティ

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マイナーな感情 - アジア系アメリカ人のアイデンティティ

  • ISBN:9784766429916

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内容説明

なぜそんなに不満なんだ!
あんたがたは次の白人になる存在なんだ!
白人の視線を内面化し、「模範的なマイノリティ」と言われながらマイノリティとしての存在感すらないアジア系アメリカ人の複雑な感情を克明に描き、彼らの人間としての尊厳を取り戻す珠玉のノンフィクション。

『マイナーな感情』は2020年に刊行され、センセーションを巻き起こした。全米批評家協会賞を受賞し、ピューリッツァー賞ファイナリストにもなった。くわえて著者ホンはTIME誌の「世界で最も影響力ある100人」に選ばれている。アフリカ系アメリカ人やヒスパニックについての書物は数多いが、「不可視」の存在であるアジア系アメリカ人についてはもともと数が少ない。本書では、彼らのアイデンティティについてや、レイシズムの対象になることにどのような「マイナーな」感情を抱くかについての繊細な叙述が見られる。と同時に、アメリカという白人優位の資本主義社会から「モデルマイノリティ」たるアジア系アメリカ人に向けられる蔑視や、もっと悪いことに無視を具体例をもって描いている。著者の半生の経験を踏まえつつ、豊富な学術的知識に裏打ちされた本書は、他に類書を見ないと絶賛された傑作である。

目次

1 団結して
2 スタンダップ
3 白人のイノセンスの終焉
4 悪い英語
5 ある教育
6 あるアーティストの肖像
7 負い目のある者
謝辞
訳者あとがき
訳注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaoru

86
白人優位社会アメリカ在住の詩人でアジア系の著者は1976年生まれ。自らの鬱の告白に始まり、アジア人差別の歴史を詳細にひも解く。詩を書くことで解放された彼女の屈折した意識は黒人コメディアンのR.プライアーの笑いを分析し「悪い英語」を使うことに向う。暴行され殺害された1951年生のアーティスト、テレサ・ハッキョン・チャの生涯を掘り起こし、戦中は収容所に入れられた公民権活動家のユリ・コウチヤマの活動を追う。一貫して流れるのは第三世界を犠牲にして富んできたアメリカへの強い怒り。著者の過激な比喩にときおり驚きつつ→2025/01/16

踊る猫

33
実にクリティカルなあなどりがたい1冊だ。ぼく自身、アジア人ではあるにせよ多数派に属する男性として「他人事」として切り離して読めない。自分自身の中にある無自覚な差別心や甘えを指弾されたようで、以て戒めたいと切に思う(読者としての自分の目がいかになまくらであるかもわかった)。ただ、違和感もある。著者が韓国人女性というアイデンティティ(ナショナリズムとは似て非なる)を誇示し、そこから「白人」や「男性」の差別・欺瞞を指弾する手つきがどこか性急に過ぎないかとも思うのだ(それともこの指摘もまた「トーンポリシング」?)2025/06/04

4
アメリカにおいていないもの扱いされるアジア人の微妙な情緒が書かれるエッセイ集 白人(加害者)が黒人(被害者)に差別的なジョークを言った場合、アジア人はどちらにつくのか、という問いにハッとさせられる2024/12/09

W

2
P103『私たちは、アメリカに帰属しようという努力のなかで、人生を二度生きる機会を与えられたとでも言うように感謝しながら振る舞う。だが、私たちがともに分かち合うルーツとは、アメリカが与えてくれた機会などではなく、白人至上に基づく資本主義的な蓄積が、どうやって私たちの父祖の国を食い物にしてアメリカを富める国にしたかにある。それを忘れてはいけない』2025/02/28

yes5&3

2
韓国から移民した両親を持つ大学教授で詩人の著者が、アジア系アメリカ人の女性の視点で描くエッセイ。全編に貫かれているのが性別と人種によって虐げられた事実と向き合い、それを黙認しないという姿勢。自身のうつ病の告白、家族の話、友人の話、白人と黒人の間に位置付けられてきたアジア人(白人側に取り込まれて消えていくことに警鐘を鳴らす)、82年の、アーチスト・チャのレイプ殺人事件の章は読んでいて胸が痛い、けれど、目を背けてはいけない、葬り去ってはいけないという著者の強い意思が伝わってくる。2025/02/10

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