内容説明
Q、悲しいから泣くのか、泣くから悲しいのか?
日常生活を送っていると、「わたしであってわたしでない判断、行動をしている自分」を感じるときがあるかもしれません。
また、身体の細胞や脳脊髄液は日々入れ替わっており、数年前の自分と今日の自分が同一であることを生物学的に保証できる要素を探し出すことは難しいでしょう。
人間独自のものと称される「こころ」とは一体何なのか? また、どこにあるのか・・・
こんなことを考えるとき、だれもが「こころ」があることを前提に、「こころ」の定義や在りか、「こころ」がどうして生まれたのか、どうやって生まれたのかを議論しています。
しかし、じつは生物学的に見れば「こころ」は脳という働きの結果(副産物)であり、解釈に過ぎません。言ってしまえば、「最初からこころなんてものは存在しない」のです。
本書を読めば、「こころ」の実情がわかり、その謎が解けるとともに、「どうして自分は不合理なことばかりしてしまうのか?」「感情に振り回されてしんどい」という悩みも軽くなるはずです。
※カバー画像が異なる場合があります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
63
以前、前野隆司『脳はなぜ「心」を作ったのか』という本に出会い、全ては極めて複雑化した「反射」に過ぎないとの結論を得て、私の心脳問題は終結した。本書が勧めるのも、「心」は錯覚の賜であり、無い物ねだりの自分探しから解放されて、それに振り回されない生き方である。要は心の持ち方なのであるが、本書は「心」が錯覚たる由縁を、様々なアプローチで解明していく。個々人の遺伝子は絶対なものではなく、発現の仕方で結果は変わり得る。昨日の私と今日の私は同じではなく、私の本質は一貫してはいない…。時には、曖昧な自分も許されるかも。2024/11/14
kawa
27
永年、仏教的信念の肝である「空」や「唯識」と言うテーマを追っかけしているので、「心は存在しない」と言う本書は親和的。脳科学者の立場からの問題アプローチが個人的には大変刺激的。とは言え、様々な角度からの論述で一読では消化しきれないところありの要再読書。2024/12/16
bapaksejahtera
16
臨床的に把握された不可解な症例を述べるラマチャンドラン等の著作を読むと、解剖学的な研究が進んでも、「私は常に私である」という「心」の存在を科学的に確定する事は、迂遠乃至不可能と思う。私自身、私は私であり続けるという実感は歳を取るにつれ急激に薄れた。その意味で著者の掲げる諸命題に異議はない。但し本書で若い世代に向け例示される物事には殆ど馴染みがない。日本人が「よろこび」を喜歓悦慶等と絶妙に使い分ける等の記述は、私は日本語語彙の単純さと逆に理解する。唯識仏教の表現にも違和感がある。細かな表現の瑕疵が多く残念。2025/07/28
とも
16
心とは?この深淵な問いにひとつの回答を記した本。タイトルが衝撃的だがちゃんと納得できるアンサーになってる。 「生命は変わらないために変わり続ける」 「みんな違ってみんないい」ああ、コミュニケーションが楽しくなりそう。 この本は「心」について解き明かしてる。同様に立花隆「死はこわくない」では「死」について説いている。おすすめ。2024/12/08
わ!
12
とても面白い本でした。魅惑的(挑戦的?)なタイトルですが、養老孟司さんなら「心は脳の機能。例えば肺は取り出す事ができたとしても、肺の機能である呼吸は取り出すことなどできない。」などと一蹴してしまいそうな命題です。ただこの本では、心というものに対して、とても深く踏み込んで述べてくれています。その切り込み方や、視点の持ち方がとても面白いのです。そしてその途中に「生物にとっての無常は、なんのためか。すべては恒常性のためです。」などという魅力的な答えをあちこちに残しながら心を追求する冒険が繰り広げられるのです。2024/12/03
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