内容説明
「私」と「先輩」はあらゆる世界、あらゆる形で出会い、あらゆる目に遭い、あらゆる物語になる――。最注目作家・斜線堂有紀がおくる、1ページで心かき乱される不可思議で不条理な250の掌編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Vakira
59
「不純文学」とのサブタイトルにて喰いつく。僕の大好物の純文学を否定する文学?いや、逆に気になる。そもそも純文学の定義は?辞典では「大衆小説に対して『娯楽性』よりも『芸術性』に重きを置いている小説を総称する、日本文学における用語」とある。僕の勝手な独自判定基準は発問小説になっているかどうかだ。不発問小説なのかしらん?「不純」って単語に注目すると「純粋・純真でないこと。まじりけのあること。また、そのさま。『—な動機』『—異性交遊』」って事。ますます気になり読順変更して読む事に。2024/11/30
tenori
53
1ページ完結、250掌の不条理なショートストーリーに登場するのは基本的に『先輩』と『私』のみ。想像力(創造力と読み替えても良い)と可能性がぎっしり。それは時に連鎖していたり、ぶつ切りの断片だったりするのだが、次は何が起きるんだろうという期待感でページをめくり続ける。読後にcontentsに立ち返ると掌編のタイトルの羅列に圧倒されるし、それだけ見ていても楽しい。メジャーデビュー前に生み出された斜線堂有紀さんの原点。原石は磨かれるために存在するのですね。2025/01/21
阿部義彦
33
品切れ状態で重版が決まったそうです。私も最近気になってぼちぼち本を漁っている斜線堂有紀さんがそもそも注目される事になった、Twitter上に綴られた緩い縛りによる掌編小説集だそうです。ラストに〈構造〉とだけ種明かしが有って、未だに書かれざる短編が無限に有るとも言えるし、読者が二次創作を創る事も可能な開かれたテキスト。キーワードは偏在か。楽しみましたが、私見ですがあちこちに筒井康隆さんからの影響を濃く感じた。「お助け」「樹木法廷に立つ」「虚人たち」「夢乃木坂分岐点」無限のテキストを誘う『バベルの図書館』?2024/12/08
さこぽん
32
SNSで繋がる、自転車にハマる、内臓を抜かれる、瞬間移動する、女の子になる、タピオカに興味を持つ、本屋を開く、箸を見限る、浮いている、泳げない、目がサーモグラフィー、名探偵になる、生首だけになる、どんどん小さくなる、選ばれし勇者になる、巨大化、透ける、溶ける、徐々に木になる、殺人鬼である、肖像画になる、お茶の間の人気者になる、花が生える、飴になる、留年する、右手が美しい、舞台の主役になる、ゲームが下手、写真に写らない体質である、など。いろんな「先輩」が愛おしい。2024/12/04
読書好きのハシビロコウ
30
奇妙な設定の世界を背景に「先輩」と「後輩」の関係性を描くショートショート集。作者がX(Twitter)に上げていたものということで、一話あたり1ページで収まり、それゆえに幕引きの余韻もたっぷり。文章は詩を読んでいる感覚も覚えて、ちょうど寺山修司の詩をもうちょっと膨らませて現代を舞台にしたらこんな感じになるのでは?とも思う。全ての話で「後輩」は「先輩」に思いを寄せており、どんなに無茶苦茶な世界であってもその思いは変わらないところが愛おしく痛々しい。2026/08/27




