内容説明
目覚めると、世界に二人きりとなっていたサチとワタル。二人の部屋はいびつにくっつき、誰もいない街は静まり返っていた。そして不意に現れた管理人を自称する女に、ここは生と死の「狭間の世界」だと告げられる。二人の肉体は、今まさに死を迎えようとしている、と――。そのまま「完全なる死」を迎えるはずだった二人だが、奇跡的に現実世界へ戻るチャンスが訪れる。残酷な選択とともに。私は、俺は、何のために、誰のために生きるのか。生きることを真摯に見つめるエモーショナルな長編小説。
目次
狭間の世界(1)
伊達恒――傲慢
狭間の世界(2)
久遠幸――傲慢
狭間の世界(3)
伊達恒――憤怒
狭間の世界(4)
久遠幸――憤怒
狭間の世界(5)
伊達恒――暴食
狭間の世界(6)
久遠幸――暴食
狭間の世界(7)
伊達恒――嫉妬
狭間の世界(8)
久遠幸――嫉妬
狭間の世界(9)
伊達恒――怠惰
狭間の世界(10)
久遠幸――怠惰
狭間の世界(11)
伊達恒――色欲
狭間の世界(12)
久遠幸――色欲
狭間の世界(13)
伊達恒――貪欲
狭間の世界(14)
久遠幸――貪欲
狭間の世界(15)
伊達恒――救済
狭間の世界(16)
久遠幸――救済
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
102
久々の行成さんは、美容師・ワタルと箱入り娘・サチが二人しか存在しない生死の狭間で出逢うファンタジー。初対面の二人が打ち解けるも、途中から残酷な選択を突き付けられる中、合間合間で現世で二人に関係する人たちからの視点が描かれる構成。著者らしい軽妙な文章なので、重くなりがちな人生についての考察も、自分をなぞらえて難しくなく考えられた。ラブストーリーとしても私には甘過ぎず、段々と切なくなってゆくのも丁度良い塩梅…若者向けの映画になりそうな設定や描写も随所にあって、意地悪な私は「狙ってるのかな?」と邪推した(笑)。2025/12/07
ゆう
13
ある日、自分の家と知らない男性の家がくっついていて、外へ出てみると、人が誰も居なくなっていた。 生と死の間に存在する狭間の世界と、ここまで来る以前の二人の過去が交互に展開し、少しづつそれぞれの人生がわかってくる。欲しいと思ったものがすぐに現れ、必要が無くなれば勝手に消える、めっちゃ便利な世界。ラストはどんな風に着地するのかと読んでいたら、切なすぎる選択が待っていた。 2024/11/24
藤倉悠也
4
★★★★とても面白かった。 自分が本当にしたいことは何なのか、考えさせられるような内容だった。ハッピーエンド。(バックナンバーの歌的な意味合いで)2025/03/30
21grumIK
3
狭間の世界では永遠の時間が流れてるのに、永遠にこのままではいられない。どんな形であれ2人で一緒に、生きる、という選択をして欲しかった。狭間の世界で明日、世界がこのままだったらいいのにって思ってしまった。2025/02/02
カササギ
3
面白い構成でした。少しずつ2人のことがわかっていく過程で、結末に向けてその行方を見守らずにはいられませんでした。もしこの状況になったとき、自分がどのような決断をするのか。2人の決断は2人だけのもので、間違いや正解はないのでしょう。2024/11/04
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