内容説明
世界の人材を日本へ、日本の介護を世界へ――
日本の介護人材不足を救う外国人人材の育成と
外国の医療介護レベルを向上させる日本の介護ノウハウの伝授で好循環を生み出せ
超高齢社会に突入して久しく、介護を必要とする人は今後も増えつづけると予想されている日本で、介護人材の確保は喫緊の課題です。しかし労働人口の減少や仕事に見合わない賃金の低さが介護業界の人材獲得に歯止めをかけているのが現状です。こうした日本の介護現場における深刻な人材不足解消の手立てとして、外国人介護人材の活用が有効であると著者は考えています。
著者はこれまで複数の病院を開業・経営してきたほか、1995年からは複数の介護福祉施設の運営をし、自身の介護施設でのミャンマー出身技能実習生受け入れや、バングラデシュでの老人ホーム設立に尽力してきました。
こうした国際的な介護福祉への取り組みから「グローバル循環型」介護人材の活用が重要だと著者はいいます。「グローバル循環型」介護人材の活用とは、介護職を目指す外国人を日本国内の介護現場で受け入れて働いてもらい、母国へ帰ったあとも日本で身に付けた介護技術を活かせるような人材に育てる構想を意味します。
この「グローバル循環型」介護人材の育成および活用は、日本の介護現場だけでなく海外にとってもメリットがあるといいます。日本の介護現場では人手不足を解消し、コミュニケーションが活発になるなどの職場環境改善につながります。一方海外にとっては世界最高レベルの日本の医療介護ノウハウを身に付けた人材が帰国後も介護現場で活躍することで、国の福祉レベル向上が期待できます。
また今後、日本では生産年齢人口が減少の一途をたどり、介護業界の存続が危ぶまれるといわれています。介護事業所がこれからの時代を生き残るには、日本で育てた「グローバル循環型」介護人材が帰国後も活躍できる現地の介護施設設立を含めた施設経営が必要だと著者は考えています。
本書では、著者の介護福祉施設で実際におこなわれた外国人介護人材活用の取り組みや受け入れにかかわる具体的な制度について紹介しています。また、外国人介護人材育成が日本の介護現場と海外の医療・介護現場それぞれにもたらしうるメリットについて解説しています。人手不足に悩む医療介護事業者にとって外国人介護人材の受け入れに関する実践的な知見を得られるほか、将来の介護業界の指針となる一冊です。
目次
はじめに
第1章 増え続ける要介護者と不足する医療介護人材
超高齢社会 増え続ける要介護者
慢性的な人材不足で無理を重ねる介護の現場
加速する介護スタッフの高齢化
綻びが見え始めた地域医療のネットワーク
これから10年の介護業界の課題
第2章 日本の人手不足を解決し、途上国の医療介護レベルを底上げする
「グローバル循環型」外国人介護人材活用とは
外国人介護人材が人材不足の解決の糸口となる
進む外国人介護人材の活用
増加する外国人の介護福祉士
外国人介護人材受け入れの背景
外国人介護人材受け入れについてのよくある勘違い
現場で活躍する外国人スタッフたち
外国人スタッフは評価が高く良い刺激を与える存在
外国人スタッフが介護現場にもたらした変化
育った国は違っても心は通い合う
外国人材を日本で育てても母国での活躍の場がなかった
「グローバル循環型」こそ、外国人介護人材活用の最適な型
母国に帰っていきいきと働くスタッフの姿が新たな人材の呼び水となる
第3章 「グローバル循環型」を実現するための第一歩
外国人介護人材の受け入れ体制を整える
外国人介護人材受け入れの4つの仕組み
①EPA介護福祉士候補者
②在留資格「介護」
③技能実習
④特定技能
特定技能で外国人介護人材を受け入れるメリット
外国人介護人材受け入れに立ちはだかる3つの壁
これからは外国人介護人材の争奪戦になる
グローバル循環型に求められる受け入れ方法
介護職を志す外国人をいかにサポートするか
受け入れ体制の整え方
多様性を認め合うマネジメント
第4章 国籍の違いにとらわれず、皆が働きやすい環境をつくる
「グローバル循環型」に必要な外国人介護人材の育成・指導
日本語のスキルをいかに上げるのか
「外国人」と一括りにはできない 出身国によって異なる文化
文化の違いを理解し合うことで相乗効果が生まれる
日本人が見落としがちな宗教のこと
利用者や利用者家族によくある勘違い
日本人スタッフと外国人スタッフとの間に起こりがちなすれ違い
外国人スタッフがつまずきやすいポイント
いかに受け入れ施設側の体制をつくっていくか
初めの一人がロールモデルになる
第5章 日本で育てた優秀な外国人介護人材が母国で働ける仕組みを構築
「グローバル循環型」で日本と途上国は“Win-Win”になれる
1台のベッドに2人の患者~医療途上国の医療レベルの現状~
ミャンマーに日本語学校をつくった理由
パブリックホスピタルとプライベートホスピタルの格差
老人ホームをバングラデシュに
世界的に見てもハイレベルな日本の医療・介護
医療介護先進国は途上国の医療介護レベルを引き上げる義務がある
おわりに
感想・レビュー
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Carol
笹森 雅弘
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