内容説明
第3回「日本おいしい小説大賞」受賞作!
石庭大輔は、宇都宮市大谷町にある元石材商の旧家に独りで暮らす公務員。ある日、家の庭に見知らぬ若い女性が現れた。アヤと名乗るその女性は明治時代の生まれで、亡くなった大輔の祖父のもとで働いていたと言う。友人の紫は「タイムスリップだ!」と騒ぐが、大輔は信じない。だが、アヤが作った冷やしコーヒーを口にして驚く。祖父が生前「もう一度飲みたい」と語っていた通りの味わいだったのだ。さらに大輔は妹の忘れ形見・ルナを引き取ることになり、アヤ、そしてなぜか紫をも巻き込んで奇妙な同居生活が始まった。
天涯孤独の身で食にも生活にも興味なく生きてきた大輔だったが、アヤの作る百年前の料理に次第に食卓を楽しむ気持ちが湧き上がる。しかし、あるきっかけから新たなタイムスリップが起きてしまい……。
壺飯、じんごろう焼き、源氏飯、チタケうどん、自家製れもんミルク、甘露梅、ベーキャップル、ミルクセーキ、クリームコロッケ、柚煎りなど、おなじみのメニューから現代では失われたレシピも登場。
さまざまな食が時間をこえて絆を紡ぎだす、郷土愛たっぷりの“おいしい”家族ファンタジー!
※この作品は過去に単行本として配信されていた『百年厨房』 の文庫版となります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
21
宇都宮市の元石材商旧家に暮らす公務員・石庭大輔のもとに、明治生まれで亡き祖父のもとで働いていた女性アヤが現れる家族ファンタジー。アヤがタイムしリップしてきたと騒ぐ友人の紫、さらに妹の忘れ形見・ルナも引き取ることになり、アヤや紫も巻き込みながら始まる奇妙な同居生活。アヤが作り上げる壺飯、じんごろう焼き、源氏飯、チタケうどん、れもんミルク、ベーキャップルといった美味しい料理が描かれて、彼女たちと食卓を囲む楽しい日々に大輔の心境も変わっていって、時を超えて育まれてゆく絆と優しい結末がなかなか印象的な物語でした。2024/11/06
そうたそ
9
★★★☆☆ 宇都宮市の元石材商の旧家に暮らす公務員・石庭大輔のもとに、ある日現れた見知らぬ女性。大正時代からタイムスリップしてきたという女性・アヤの作る当時の料理は大輔の舌を魅了する。タイムスリップの謎というファンタジー的な魅力も絡めつつ、百年前の料理たちを文字で楽しめる何とも"美味しそうな"ストーリー。冷やしコーヒーや実際にレモン汁を使ったれもんミルクなど興味惹かれるレシピが多々。ただのお料理小説にとどまらず、複層的な魅力のある佳作だった。2025/08/02
陽ちゃん
7
宇都宮市の旧家で独り暮らしをしている大輔の目の前に突然現れた女性アヤは、大正12年の関東大震災の揺れで平成22年の夏にタイムスリップしてきたらしい⋯疑う大輔に、友人?の篠原は信じます。アヤが作ってくれた「冷やしコーヒー」を飲んで、半信半疑ながら彼女の存在を認め、家族のように暮らし始めますが、今度は東日本大震災の揺れで大輔が大正時代にタイムスリップしてしまい、アヤのことや育ててくれた祖父のこと、家のことを知り⋯大震災から8年後の世界へ戻った大輔の混乱は気の毒ですが、最後は前向きになってめでたし、ですね。2024/12/08
くろじら
3
こじゃれた感じの小説かと思って読んだら,全然違ってて,すごく面白かった.タイムスリップ物の良さがうまく出ていて,特に後半の展開がハラハラするし,伏線がしっかり回収されていく.公式のあらすじは間違ってないし,その通りの話なのだけど,そうじゃないんだよなぁ…もっとラノベっぽい,とっつきやすい楽しさがある小説でした.2024/12/31
ASKA
2
大正時代からトリップしてきたお女中のアヤさんをキッカケに展開するファミリーストーリー。中盤の展開が意外で、でも面白かった!ラストはご都合的ではあるけれど、つながる街の記憶があったかいお話でした2025/04/23
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