私の最後の羊が死んだ

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私の最後の羊が死んだ

  • 著者名:河崎秋子【著】
  • 価格 ¥1,485(本体¥1,350)
  • 小学館(2024/10発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784093891660

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内容説明

前代未聞の「羊飼い作家」誕生秘話エッセイ。

最初の一頭を飼ってから、最後の一頭の出荷を見届けるまで
「羊飼い一代記」を綴った傑作エッセイ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お仕事は何を?」
「羊飼いです」
「……え?」
という、なんとなく微妙なやりとりを重ねてきたのは、ひとえに日本人は羊飼いという職業に馴染みが薄いせいであるのかもしれない。
(本文より)
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酪農家の娘として生まれたからこそ、その過酷さは身にしみており、大学卒業後も農業に関わるつもりはなかった。
だが大学時代に教授宅で催されたバーベキューで出逢ってしまったのだ、美味しい羊肉と――。
「自分でも生産してみたい」との思いから一念発起しニュージーランド実習へ。

さまざまな縁にも助けられながら、勉強を重ね、日々実直に羊を育て、出荷し、羊飼いとして収入を得られるようになった。やがてお得意先のレストランシェフに「河崎さんとこの肉はお客さんに出すのが勿体ないほど美味しい」と言われるまでに。

順調に回り始めた羊飼い生活を、それでもなぜやめる決断をしたか、そしていかにして小説を書き始めたのか。「小説家前夜」の日々を綴る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

207
「羊飼いになる」という夢を実現し、最後の一頭を見届けるまでの感動のドキュメント。家業の牧場の酪農作業員としての厳しい労働、父の介護などの苛酷な運命に翻弄されながらも、多くの人たちの協力で夢が叶う。自分で育てた羊を屠り、食する行為の中に、薄っぺらな感傷ではない本当の意味での生命の尊厳に対する畏敬がある。その凛とした姿勢が心を打つ。それは、文筆家として一本立ちされた河﨑さんご自身の凛とした人生に連なっている。小説での硬い文章と違い、クスッと笑える軽妙なエッセイに、河﨑さんの新たな一面を発見した気持ちにもなる。2024/11/26

いつでも母さん

174
〈羊飼いだったあの頃、私は私なりにけっこう頑張った。〉終わり近くのこの一行に泣いてしまった。注目の河﨑さんのエッセイはずしんずしんと読まされた。ドキドキする「命」と「生」がそこここにあるのだ。第七章まで個人的な記録として以上に、熱と挿し込まれた写真が紛れもなく羊飼いだった河﨑さん。『書かれるべきものがあるから』書くと言う。私も「読むべきものがあるから」これからも河﨑作品を追いかけたい。そんなエッセイだった。2024/11/28

hiace9000

160
大好きな河﨑さんの自伝的エッセイ。小説家・川﨑文体は「去勢されていない雄羊の肉」のよう。あえて歯ごたえと重み、生きる者の放つクセのある臭いまで感じさせ、読み手の五感にずしりと纏わりつく。数々の川﨑作品に息づく、北の大地の荒々しい自然と生の脈動、人や動物の匂い立つような臨場感の根源は、「羊飼い」としての経験と揺るがぬ矜持と切り離せはしない。家畜を手塩にかけ飼育し、余すことなくその命をいただくー川﨑流”命の観え方”があるのだ。彼女の舌に「最後の羊の味」が残る限り、これからも人の胸打つ作品が生まれ続けるはずだ。2024/12/22

モルク

158
15年羊飼いとして生きてきた河崎さんのエッセイ。実家の酪農業を手伝いながらも自らは羊飼いとして生計を立てる。彼らの面倒をみるため休みはない。実家の仕事もギリギリの人数でまわしているためその過酷さは想像以上である。羊に愛を注ぎながらそのプロの目線は彼女の作品に通じる。命を預り戴く以上は最後まできちんと戴く。サカナくんもそういっていたな。育てていたのに可哀想というのは素人考え。専業の小説家になるため羊を手放す覚悟をし最後の一頭まできちんと見届ける。その姿に胸が熱くなった。2025/02/08

fwhd8325

153
意外と言っては失礼ですが、河﨑さんのエッセイと聞いて、勝手に想像していたイメージとは全く違うものでした。エッセイと言うよりも、河﨑さん自身の物語。躊躇しない人生の選択が素晴らしいと思います。そして、命と近い距離にいることが、河﨑さんの作品を創っているのだと思います。2024/12/01

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