内容説明
20世紀初頭、世界が熱狂した壮大な首都構想。その真実は平和の実現か、恐怖の支配か
科学、通信技術、芸術、スポーツなどあらゆる叡智をひとつの都市に集結させる――斬新な〈世界の首都〉構想が立てられた。目的は技術革新を通した世界平和。考案者は彫刻家のヘンドリックと義姉で名家出身のオリヴィア。政治家や芸術家をはじめ計画は世界中で熱狂的に支持されたが、構想から30年を経たのち夢と潰えた。だがその裏ではムッソリーニ、ヒトラーら独裁者たちが強い関心を示していた。ユートピア思想から始まったはずが、なぜファシズムに利用されることになったのか。計画に人生を捧げた考案者の姿を通して、幻の理想都市の謎に迫る歴史ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やまけん
17
積読チャンネルで紹介され、気になって購入した。 サブタイトルにもあるが、フランス国王やムッソリーニからも賛同を得られた「世界コミュニケーションセンター」計画が我々の目の届かない闇にまで葬り去られた理由が常に気になる内容だった。 結局は、主人公ヘンドリックの理想主義的な誇大妄想癖とベル・エポックという時代がある種かみ合ったことで数々の有力者を呼び寄せたものの、周囲を顧みない性格がすれ違いを起こさせヘンドリック自身が知る由もないところで理想を打ち砕れたという、なんだが物凄く現実の厳しさを突き付けられた。 2025/09/06
Mof
6
平和について考えさせられた。 どんなに多くの人が平和を望んだとしても、一部の力ある人間が戦争を始めたなら、平和は訪れない。 人間の遺伝子には、闘争の遺伝子が組み込まれているのだと思う。 平和な世界というのはまやかしで、一部の金持ちが金や名誉、権力を得る為の時間稼ぎでしかないのかもしれない。地位の低い労働者や貧困層は、世界が平和であろうとなかろうと、この世の地獄を生きるのかもしれない。2025/08/28
スプリント
6
主人公と義姉と建築家の数奇な運命の物語。 大戦がなければどのような結末を迎えたのだろうか。2024/12/06
mana
5
財産も学もないただの誇大妄想家が「世界の首都をつくる」という途方もないプロジェクトを、実現手前まで持っていったという事実に驚愕。時代と噛み合ったが故のことではあるが、それが失敗したのもまた時代の潮流というのが皮肉めいて感じられた。一方、彼らの計画した都市はファシストたちによって換骨奪胎して実現されたとも言えるが、これも元の目的を思えば皮肉なことだ。ヘンリー・ジェイムズの指摘は真っ当で、「世界」などという大きな言葉は、ポジショントークで用いられがちな、疑ってかかるべきものなのかもしれない。2025/10/26
チョコレートコスモス
5
図書館本。積読チャンネルでvalue booksの飯田さんが紹介されており興味を持った。飯田さんの紹介も上手だったためかなり期待を込めて読み始める。情熱的で頑固で途方もなく理想主義者の彫刻家ヘンドリック。彼の、「世界平和のために芸術科学スポーツ等々を集約する世界の首都を建設する」という一種誇大妄想が、世界の主要な国の支持を得られながら葬り去られるまでの経緯を掘り起こしているドキュメンタリーだ。影響を与えている世界情勢も絡めながら執筆されていて、まさに「事実は小説よりも奇なり」を実感した読書体験だった。2025/03/01
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