中公新書<br> 加耶/任那―古代朝鮮に倭の拠点はあったか

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中公新書
加耶/任那―古代朝鮮に倭の拠点はあったか

  • 著者名:仁藤敦史【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 中央公論新社(2024/10発売)
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  • ISBN:9784121028280

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内容説明

加耶/任那は3~6世紀に存在した朝鮮半島南部の小国群を指す。『日本書紀』は任那と記し、「任那日本府」の記述などから長く倭の拠点と認識されてきた。だが戦後、強く疑義が呈される。歴史教科書の記述は修正が続き、呼称も韓国における加耶へと変わる。他方で近年、半島南部で倭独自の前方後円墳の発掘が相次ぎ、倭人勢力説が台頭する。本書は、古代東アジア史の大きな争点である同地域の実態を実証研究から明らかにする。

<目次>
まえがき

序 章 加耶/任那研究の歩み
1日中韓史料のなかの古代東アジア
2通説までの道程――150年に及ぶ研究の軌跡
3広開土王碑と百済三書――史料批判による精緻化

第1章 檀君神話から金官・大加耶へ
1「古朝鮮」の虚実――檀君、箕子・衛氏朝鮮時代
2三韓時代へ――朝鮮四郡と馬韓・辰韓・弁韓
3いにしえの辰国―― 三韓以前の半島南部
4二大国の建国神話と任那の登場

第2章 弁韓からの発展――4世紀の動向
1盟主・金官の台頭と揺らぎ
2神功皇后「加羅七国平定」――『日本書紀』の真偽
3百済と倭の通交はいつからか
4広開土王碑のなかの倭、任那加羅、安羅

第3章 大加耶の成長と倭臣――5世紀~6世紀初頭
1高句麗対百済・倭――5世紀前半の動向
2倭の五王による「任那・加羅」都督諸軍事申請
3大加耶の中国への遣使――「輔国将軍本国王」の冊封
4加耶・馬韓の倭臣たち――ヤマト王権と異なる倭系集団

第4章 百済・新羅による蚕食と抵抗―― 6世紀
1「任那四県の割譲」――減衰する加耶諸国
2新羅の侵攻、 己呑・金官・卓淳の併合
3任那復興会議――百済の招集と加耶諸国の思惑
4加耶の消滅 ――「任那日本府」とは何だったか

第5章 滅亡後―― 倭の揺れる「任那」認識
1なぜ倭は百済・新羅に「調」を要求し続けたか
2伝承と面影―― 新羅と日本のなかで

終 章 加耶とは何か―― 国民国家を超えて

あとがき
主要参考文献
加耶/任那 関連年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

97
日本書紀に表記される任那日本府が朝鮮半島南部における領域支配の拠点だったという通説は、現在明確に否定されている。表題の加耶は韓国側の資料に表記される地域名で、任那は日本書紀での表記である。加耶は3〜6世紀にかけて朝鮮半島南部の洛東江流域の十数か国からなる小国群を示す名称であり、高句麗、新羅、百済の歴史書「三国史記」の内容は、日本書紀とは異なるものが多く潤色の可能性が高い。栄山江流域で多数発見された日本固有の前方後円墳の存在や、百済から加耶を通じて天理市の石上神宮に伝わったとされる七支刀など興味が尽きない。2025/06/20

南北

66
古代朝鮮の南端にあった地域を中国や朝鮮では加耶と呼び、日本では任那と呼ぶ。本書では比較的に公平な観点からこの地域の歴史を見ていこうとする点は評価したいが、いくつか気になる点もある。1つは日本書紀などの日本側の資料を否定する傾向が強く、三国史記などの朝鮮側の資料に依拠することが多い点と韓国の地名に韓国語でふりがなをつけている点である。韓国語の地名や人名にふりがなをつけても正確には表現できないだけでなく、非常か読みにくくなってしまう。漢字の発音はそれぞれ異なっても問題ないはずだ。2025/05/10

やいっち

62
「『日本書紀』は任那と記し、「任那日本府」の記述などから長く倭の拠点と認識されてきた。だが戦後、強く疑義が呈される。歴史教科書の記述は修正が続き、呼称も韓国における加耶へと変わる」というが、吾輩の「任那日本府」のイメージは、まさに『日本書紀』に綴られた像のまま旧態依然たるものだった。2025/05/15

saga

49
本書は3世紀以降の朝鮮半島と日本列島にあった古代国家との関係を史料(史料批判を含む)を基に考察する。高句麗・百済・新羅の三国は教科書にも出てきたが、加耶/任那は読メに出会ってから知ったと言って過言ではない。古代国家が編纂した歴史書は、神話であったり自国に都合の良いことを書くため、中韓日の史料を比較検討するのだが、離合集散がなかなかにややこしい。倭(ヤマト王権)が朝鮮半島に進出したくとも、軍事的にも距離的にも無理があったのだと思う。2025/05/04

活字の旅遊人

46
小学生くらいの頃に植え付けられている歴史的な知識はガラガラと崩れていく。その頃、古代朝鮮半島に倭の植民地があったという話を聞いて、本当かな? と思った記憶もあるにはあるのだけど。本書で思うのは、僕らが国家とか植民地という用語から持つイメージと当時の状況はおそらく違う。二つの国に従属する官僚だって相当数いたんじゃないかな。後の世でも例えば明智光秀なんてそんな感じ? いや、織田は建前上足利の下だからいいんだろうけど実質だとね。吉備氏が加耶任那エリアに関係があるとなれば、鬼ノ城の存在もかなりの証拠になるね。2025/06/22

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