中公新書<br> 就職氷河期世代 データで読み解く所得・家族形成・格差

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中公新書
就職氷河期世代 データで読み解く所得・家族形成・格差

  • 著者名:近藤絢子【著】
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 中央公論新社(2024/10発売)
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  • ISBN:9784121028259

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内容説明

バブル崩壊後、未曾有の就職難が社会問題となった。本書は1993~2004年に高校、大学などを卒業した人々を「就職氷河期世代」と定義し、雇用形態や所得などをデータから明らかにする。不況がこの世代の人生に与えた衝撃は大きい。結婚・出産など家族形成への影響や、男女差、世代内の格差、地域間の移動、高齢化に伴う困窮について検討し、セーフティネットの拡充を提言する。統計から見えるこの世代の実態とは。

■目 次■

まえがき

序 章 就職氷河期世代とは

「就職氷河期世代」とは/マクロ指標で見る就職氷河期/前期世代と後期世代の違い/ポスト氷河期世代・リーマン震災世代/就職氷河期世代観の変遷/指摘されてきた問題点


第1章 労働市場における立ち位置

初職――正規雇用か、非正規雇用か/就職先の規模・業種・離職率/就業状態の推移――世代間の差は徐々に縮まる/年収の推移――世代間の差は縮まらない/就職活動時の景気は影響するか/若年期の不況の瑕疵効果/就職氷河期を境に瑕疵効果は弱まった/第1章まとめ


第2章 氷河期世代の家族形成

未婚化・少子化の原因は若年雇用の悪化か?/1人の女性が産む子供の数は下げ止まっていた/既婚率と子供の数の複雑な関係/初職による格差/世代内格差を世代間に拡張する誤謬/景気と出生率の短期的な関係/若年期の景気の長期的影響はさらに複雑/少子化・高齢化対策の方向を見誤る危険性/第2章まとめ


第3章 女性の働き方はどう変わったか

就職氷河期のインパクトの男女差/就業率・正規雇用比率の世代差は数年で解消/フルタイム雇用者の男女間年収格差/就業率・正規雇用比率の男女間格差/晩婚化・晩産化の影響/出産退職の減少と就職氷河期世代/第3章まとめ


第4章 世代内格差や無業者は増加したのか

男性の年収分布の推移/男性フルタイム雇用者の年収格差/生活困窮者やその予備軍は増えたのか/ニート/生活不安定者/ひきこもり、孤立無業者/下側に広がる格差と将来への懸念/第4章まとめ


第5章 地域による影響の違いと地域間移動

対照的な近畿と東海/若年男性の就業・年収の地域間格差の変化/地域間移動の動向/大学進学に伴う地域間移動の傾向/高校卒業後の他都道府県での就職動向/第5章まとめ


終 章 セーフティネット拡充と雇用政策の必要性

親世代の高齢化による生活の困窮/低年金・低貯蓄からくる老後の困窮/既存の枠にとらわれないセーフティネットの拡充/介護サービスのさらなる拡大/雇用政策・就労支援で若年のうちに挽回を/データに基づく冷静な議論を

補 論 

あとがき 

参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あすなろ

115
就職氷河期世代との題名で中公新書であれば読みたくならない訳がないど真ん中世代の僕。ところが、この本はそれを良い意味で超えたのである。例えば氷河期世代も前期後期に別れる・出生率は我々より前の世代の方が低い・リーマン震災世代という世代の課題等。筆者は終章でこう述べる。人は自分の世代が相対的に割を食っていると考える傾向があると。また、あとがきにて一般向け文章を書く機会少なくその指針不足だったとしているが、そんな事はない。非常に分かりやすく、かつ、自分の世代やその他の世代の状況や様が正直初めて理解・判断出来た。2025/04/20

あらたん

65
データで見た就職氷河期世代。自分が氷河期世代真っ只中なのでとても興味深く読んだ。新しい発見は氷河期世代に出生率が改善していたということ。実感どおりだったのが氷河期後期から正規採用が減少し、そこから回復していないこと。いずれにしても、社会科学の領域においても重要な問題についてはデータに基づく冷静な議論がもっともっと広まってほしいし、そのためにもこのような社会科学の研究に対してもより大きな支援が必要と思いました。2024/11/24

うえぽん

52
東大社研の労働経済学者が氷河期世代を含めたバブル〜リーマン震災世代の雇用、家族形成等を比較し、政策的含意を訴えた著作。2000年前後では、若者の失業増の原因を目的意識の希薄化など若者意識の変化に求める見方も多かったとする。氷河期世代の雇用が不安定で年収格差は卒業後15年経っても解消しないだけでなく、その後の世代も不安定で低年収のままとする。他方、ある世代の子供の数と新卒労働市場の状況に明確な相関関係はないとする。データに基づく就労支援等が重要とするが、政策の有効性に係る分析が欠けているのはやや物足りない。2025/03/09

よっち

31
バブル崩壊後に社会問題となった未曾有の就職難。就職氷河期世代の雇用形態や所得などをデータから他世代と比較してその影響を明らかにする1冊。1993~2004年に高校・大学などを卒業した人々を「就職氷河期世代」と定義し、結婚・出産など家族形成への影響や男女差、世代内の格差、地域間の移動、高齢化に伴う困窮について検討する内容で、少子化はその前のバブル世代から始まっていて、氷河期世代でも前半と後半ではだいぶ違うこと、その後の世代は一部を除いて苦しい状況が続いていたことや地域差もあったことが伺えて興味深かったです。2024/11/11

小鳥遊 和

22
先日、玄田有史著をレビューした。偶然だが本書の著者はあとがきで、その玄田著に触発されて労働経済学に進んだと記す。本書で知ったのは、他のレビュワーも特筆する「少子化は日本経済が上向きだった80年代後半から始まっていて、就職氷河期世代の家計が苦しいから進んだとはいえない」という事実だ。正しいと思われがちな「瑕疵効果」が実証できなかったとの報告も重要。就職氷河期を前・後期に分け、続けてポスト氷河期世代とリーマン震災世代を置くという設定も興味深い。概要はYouTubeを著者名で検索するとPIVOT他で聴ける。2024/12/16

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