葬儀業界の戦後史 - 葬祭事業から見える死のリアリティ

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葬儀業界の戦後史 - 葬祭事業から見える死のリアリティ

  • 著者名:玉川貴子
  • 価格 ¥2,860(本体¥2,600)
  • 青弓社(2024/10発売)
  • ポイント 26pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787234339

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内容説明

エンディングノートや終活への着目は、生前に自身の葬儀などに関心を持つ人々の増加を示しているが、ライフスタイルの変化から「葬儀は不要/シンプルに」という志向も支持を集めている。葬儀は、いつの間にか人々の志向に応じて変えられると見なされるようになった。

いまでこそ葬祭業はサービス業だと思われているが、戦後の葬祭業界は「人の不幸でお金をとる」と長らく批判され、また遺体を扱う事業として蔑視されてきた。葬祭業者たちは、批判に対応して自身の仕事をどう意味づけ、葬儀をサービス業として成立させたのか。

行政との綱引き、消費者・顧客としての遺族との関係、宗教者や地域住民との連携・軋轢――葬儀を商品化した葬祭業者の葛藤の歩みを追い、フィールドワークから葬祭業者自身の職業観も聞き取って、葬祭業の戦後史と私たちの死生観の変容を描き出す。

目次

序章 葬祭事業者にとっての終活ブームとケア
 1 終活ブームにおける葬儀
 2 職業上、死にかかわること――ケアと商品
 3 本書の構成

第1章 葬儀サービスを捉えるために
 1 商品化・消費社会での死
 2 葬儀サービスでの消費者との相互行為とその特性について
 3 死を商業的に扱うことによるジレンマ
 4 葬祭業者の感情的不協和と職業イメージ
 5 葬祭業から見る近代化

第2章 戦後の葬祭業界の変動要因
 1 戦後の経済成長と人口の変化
 2 戦後の葬祭業界
 3 行政的な主導と葬儀の経済・文化的価値――一九四五―六〇年代
 4 マナーの消費と葬儀サービスの開発――一九七〇―八〇年代
 5 「心」の時代の葬儀――一九九〇―二〇一〇年代
 6 リスク消費としての終活ブーム――二〇一〇年代以降

第3章 商品としての儀礼空間――景観と住空間から排除された死
 1 葬儀場所の変化
 2 死の排除をめぐる「景観」というレトリック
 3 葬儀会館の商品価値
 4 人々の視線と行為を意識した死の管理

第4章 葬祭業教育と遺族へのかかわり
 1 一九八〇年代の葬祭業者たちが感じた職業イメージ
 2 身体の意識化
 3 企業教育での利他的側面と商業的側面
 4 地域のなかでのグリーフケア

終章 葬祭事業という死のリアリティ
 1 商品化された/商品的ではない死
 2 生前から死後の準備を推進する――「ライフエンディング」とは
 3 「死」から「生」のなかのリスクへ

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

37
実際に葬儀会社で半年間ガチで勤務しフィールドワークした著者が、現場でのインタビューや業界内部の資料も駆使し、業界の成立史を描き出す。私自身以前にベテラン営業の方や葬祭ディレクター資格づくりに携わった方にお話し聞いたことがあり改めて気づかされたが、突然消費者になった顧客との対峙、仕事の様を見られる仕事であること、グリーフケアと感情労働、そこからの商売と、まさに究極のサービス業。これから50年続く多死社会、携わる方は増え続けるだろうが、偏見と闘い、現時点でここまで業界が確立されてきたのはよかったことと思った。2018/08/05

kenitirokikuti

12
〈葬祭事業の種類は、大きく三つに分けられる。葬儀だけを扱う専業事業者、冠婚葬祭互助会、農業協同組合である〉(序章p.13)。本書は専業者の組合、「全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)」を中心に扱う。かつて葬祭ってものには『八つ墓村』の「たたりじゃ〜!」みたいな要素があったが、『お葬式』(1984)、『おくりびと』(2008)と大衆イメージが変わってゆく▲統計を見ると、高度成長期を境に、死が老人に偏ってゆく。昭和30年ごろ、死者の1/4が幼児だ。かつては婚と葬が近かったのだな。2018/06/16

takao

0
ふむ2018/09/18

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