内容説明
アラフォーの柳田譲の前に現れた三人の女との出会いと別れ。愛を求め、また与えようとして却って孤独へと突き進んでしまう魂の悲哀を描く太宰治賞受賞後第一作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
54
題名は「地獄への道は善意で敷き詰められている」のパロディだろうけど、コワイですね。外見はいいけど社会とうまく向き合えない中年男性が主人公。こういう男は確かにいる。綺麗な女性は、同性からのやっかみや異性からの攻撃的な好意にさらされることが多く、立ち振る舞いが洗練されている方が多い気がする。でもルックスのいい男性は同性からは可愛がられ、異性からの好意は意に介さず、ボンヤリと生きているタイプが本当にいる。個人的にはホストみたいな奴より、これくらい生きづらそうにしているイケメンの方が好きだ。本人は大変だろうけど。2024/11/03
ジョンノレン
44
自らの内面の光と闇取り分け弱さや暗部を容赦なく吐露し、家族を含め他者との関わりについてもその生育プロセスや繊細さゆえ、ネガティブな方向に傾く傾向からひりひりするような痛みが伝わってきて時に辛い読書となる。日本のペシミスティックな私小説の歴史を敢えて引き継ぐ作品。人もさることながら時に自分を笑い許し愛することが大切だなと思わず思ってしまったが、主人公はそうした態度自体が甘く不誠実ということになるのかな。避けては通れない作家さん、時間を置いて太宰治賞受賞作にもチャレンジしたい。2026/01/31
竹園和明
35
読み初めは、マジメな顔でボケるようなパロディの作品なのかと思った。特に前半、とぼけたような一文一文が可笑しくてニヤニヤしながら読み進めたけれど、途中からどうやらそうではない事に気付く。主人公柳田は、他人の為にいつも自分が身を引くお人好し。この上ない交際相手の夕子からも身を引く。世の中にはこういう生きる事に不器用な人もきっといるのだろう。笑って誤魔化し刹那的日常を繰り返して来た自分が恥ずかしくなる。柳田を通して自らを切り付けるような鋭利な作風は、太宰治賞受賞作家らしい太宰的仕上がりだった。2024/10/22
kan
23
笑っていいのか、難しい顔をしなくちゃいけないのか、よくわからないままスルスル読めてしまい、休憩も挟まず一気読み。こじらせアラフォー男の、さまざまに問題や悩みを抱える女たちとのやり取りと人生の重なりがどうしようもなく現実的で情けなくて、厭世観全開の語りがめんどくさいのに癖になる。玉絵視点編が読んでみたいが、もっと救いがなさそうな気がする。2024/12/09
こまり
19
前作の『自分以外全員他人』は太宰治賞。これも読んでいると太宰治の影がチラつく。ここまで自虐的で厭世的な部分をさらけ出すのもすごい。読んでいてどんどん暗闇に落ちていくような感じだ。でも、人前では無意識に隠しているであろう人間の本質も見え隠れして否定しきれない所もある。誰にでも薦める本ではないけれどなかなか面白かった。2024/11/07




