ちくま文庫<br> 台所に敗戦はなかった ――戦前・戦後をつなぐ日本食

個数:1
紙書籍版価格
¥924
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

ちくま文庫
台所に敗戦はなかった ――戦前・戦後をつなぐ日本食

  • 著者名:魚柄仁之助【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2024/10発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480439642

ファイル: /

内容説明

うどんでプリン、海苔巻きバナナ、肉なし「そばすき焼き」にはんぺんサンドイッチ……。台所をあずかる女たちは、国破れても立ち止まってはいられなかった。明治から戦後二十年ほどまでの料理本約七百冊、婦人雑誌二千冊に登場するレシピを実際に作って食した著者が、その背後に潜む国家の政治性と“かあさん”たちが生み出すゆかいな創意工夫に迫る、実践的食文化史!

目次

はじめに/第1章 すき焼き/1928年の「すき焼き」/鋤や鍬で本当にすき焼きができるのか/すき焼きのプロトタイプ/家庭百科事典の「すき焼き」/すき焼きとはなんだ? /大阪からやってきたすき焼き/すき焼きを語る人々/変わりすき焼きのいろいろ/そばすき焼きという最終形態/第2章 サンドイッチ/サンドイッチが和食になった頃/和製サンドイッチは米不足が生みの親/1933年(昭和8年)の「ツナサンド」は鰹節/テリヤキバーガーの先祖はもしかして/穴子サンド/和風オープンサンドは海苔トースト/寿司とサンドイッチ/第3章 うどんとマカロニ/あべかわはマカロニで/スパゲティ、マカロニ、 類珍品集/マカロニ鍋のいろいろ/うどんのトマト和え/そばナポリタン/マカロニ(西洋うどん)の折り方/マカロニはご飯のおかず? /スパケット飯(スパケット・アラ・ロメース)/『日々活用お料理辞典』から「マカロニー」の項を開くと…… /うどんで、かりんとう/うどんで、パン/うどんで、ビスケット/うどんで、プリン/うどんのコロッケ/うどんのうに焼き/第4章 ねぎま/「ねぎま鍋」のナゾ/マグロは赤身か、脂身か/1970年代からさかのぼる「ねぎま」/1960年代の「ねぎま」は/1950年代のねぎま汁をたずねて/ねぎま──戦時篇/日本陸軍調理法でのねぎま/ねぎま鍋の黄金時代/「ネギ鮪」が「ネギ間」に変わるそのとき/マグロの脂身は足が早い/冷蔵庫で下克上/1980年代の脂身事情/1990年代は偽装大トロ時代/ねぎま鍋の生い立ちから終焉まで/第5章 人工葡萄酒/葡萄酒の自家醸造は合法? だった/つくりませう! 葡萄酒/甘味代用の葡萄酒も自家醸造だった/自家醸造のトマト酒/人工葡萄酒は黒豆で/第6章 おしるこ&珍スイーツ/ハイカラさんのバナナ料理/和食? 洋食? 不明のバナナ料理の数々/バナナの皮? /バタくさい葛湯はピーナッツで/やまいもでホットケーキ/おはぎ作りは里芋で/柿で柿餅、柿団子/梨もどきは海軍のデザートにもなった/お汁粉の歴史──戦前篇/お汁粉の歴史──戦後篇/汁粉は……小麦粉で/第7章 カルピスもどきと代用コーヒー/まさしくカルピス/カルピス・のようなもの/モダンドリンク集/黒豆コーヒー/紫蘇コーヒーは熱中症対策か? /大麦コーヒーは発芽飲料だった/滋養農村コーヒーのこしらえ方/米糠コーヒー、米糠油/第8章 玉子チーズ/質問:玉子からすみって、何ですか? /玉子チーズは「特許品」ですと? /玉子チーズの前身は玉子からすみだった/チーズとからすみはおんなじだった/玉子チーズのルーツは味噌漬けだった/おわりに/解説 湯澤規子

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

mukimi

115
生きている上で食はずっとついて回るから食はそのまま人間の生命力の表出だと思う。パン寿司、蕎麦ナポリタン、トマト汁粉、紫蘇コーヒー...家族のために自分のときめきのために主婦たちは奮闘した。亡き祖母は勉強熱心な栄養士だったけど、敗戦後になぜ栄養士になろうと思ったのかにやっと思い至った。祖母がいつも線をひきながら読んでいたレシピ雑誌が、本書に載っている新聞のレシピ切り抜きに重なりそして更には、昨今SNSに流れてくる様々なレシピ動画に重なった。材料がなくても美味しいご飯を作りたいという人の心はいつの世も照らす。2025/03/02

めがねまる

9
戦前戦後の家庭雑誌などに掲載された料理が多数紹介されており、実際に調理して食べた著者の感想や分析などが書かれている本。手軽に挑戦できそうなレシピがあり、その中から林芙美子のトマトすき焼きと、油揚げにひき肉をつめたしのだすき焼きを私も実際に作ってみた。トマトすき焼きは火の通ったトマトと牛肉の相性がよくご飯に合う味、しのだすき焼きは食べ応えのあるお腹がいっぱいになりやすいレシピで、こうして再現してみるのも面白かった。おすすめの本。2025/01/14

ののまる

7
独特の語り口調が楽しい。2024/10/09

Ayana

4
1930年頃~戦後の料理本や婦人雑誌のレシピがたくさん。実際に全部作ってみたというからすごい。「漬物サンドイッチ」や「マカロニあべかわ餅」など仰天するような珍レシピも多々。ねぎま鍋は食べてみたい。しかし台所のおかあさんたちは貧しくとも奮闘していた…と美談ではすませない。戦況が悪くなり食料不足になると、創意工夫は家族のためではなく国家経済のためにすり替わる。押しつけのような節約レシピが雑誌に載る。それを著者は生活者感覚のない「国策レシピ」と呼ぶ。情緒に流されるだけでは本質は見えてこないと、気づかされる。2025/01/30

niz001

4
親本長いこと積んだままにしてたら文庫化しちゃったんで買い直し。チラホラと名前変えたら今でも行けそうなものが。卵カルピスって凄い作り方やな、「玉子酒の素」は良い得て妙。2024/07/17

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22002873
  • ご注意事項

最近チェックした商品